第20章 愛と情熱の国
花子 side
私の目の前には一際大きく豪華な扉が鎮座している。ここはドフラミンゴさんの部屋の前。何故私がいるかと言うと。
ー俺の部屋に来い。ー
突然の呼び出しに思い当たる節は無くまた単なる気紛れだろうと、さして気にする事無く扉をノックすると中から声が聞こえる。
「…誰だ。」
「花子ですよ~。」
「入れ。」
ぶっきらぼうな口調に自分から呼び出しといて何だその態度はと、心の中で愚痴を溢し部屋に入ると豪華なソファーに深々と座りふんぞり返るドフラミンゴさん。
「よぉ、花子ちゃん。」
「ドフラミンゴ様、誰ですか?この人は?」
「新しい使用人ですの?」
(…え、パリピ?)
ドフラミンゴさんの膝にはそのプロポーションを惜し気も無く曝け出す服を着ている綺麗なお姉様2人が座っている。
「ドフラミンゴ様、こんな人放って置いて早く行きましょう?」
(…私は何を見せられているのか。)
ナイスバディなお姉様はその零れ落ちそうな程の豊満なお胸をドフラミンゴさんに押し付け誘う様な視線を彼に送る。ドフラミンゴさんも満更でも無いのかその細腰に腕を絡ませている。
「えっと…何かご用でしょうか?」
「俺は今夜この部屋で過ごす。」
「はぁ…。」
だから何だと言うのだ。元々ドフラミンゴさんの部屋なんだから過ごすのは当たり前だ。
「…。」
(めっちゃ気まずいんだけど?!)
ニヤニヤと笑みを浮かべ私を見つめるドフラミンゴさんの意図がよく分からない。
「分かりました。食事は部屋に持って来る様に伝えておきますね。」
「…チッ。」
(舌打ち?!)
返事にしては行儀悪くない?!急に不機嫌になったドフラミンゴさんは下がれと言う様に、シッシッと私に向かって手を払う。
「それでは失礼しますね。」
「…。」
お辞儀をして退室しようとする私をドフラミンゴさんはじっと見つめる。サングラス越しに射抜かれる彼の鋭い視線を背に私は扉を閉めた。
「…え?本当になんなの?」
まさか私、伝言役に使われた?それだったらめっちゃ腹立つんだけど!
(取り敢えず、厨房の人に伝えないと。)
よく分からないモヤモヤを胸に私は任された仕事を果たす為足を踏み出した。