第20章 愛と情熱の国
花子 side
「今日も来てやったぜ。」
「…いや、頼んでないんだけど。」
さも当たり前かの様に部屋に入ってきたドフラミンゴさんに私は頭を抱える。
「つれねぇなぁ、夜と共にした仲だろ?」
「その言い方、語弊がある!」
添い寝した日以来、ドフラミンゴさんはこうして私の部屋に訪れる様になった。別にイヤらしい事してる訳じゃないから良いんだけど…。
「…奥さんとかいないの?」
「あ?」
この世界の結婚事情は分からないけど、王様だったら側室の1人や2人いてもおかしくないよね?
「なんだ?俺を盗られるか心配か?」
「…すっごいポジティブ?!」
ニヤニヤと腹立つ笑みを浮かべるドフラミンゴさんは私を抱き上げ、ベットに腰掛けると向かい合わせになる様に膝に跨がらせる。
「俺はお前の事結構気に入ってるぜ?」
「…はいはい、ありがとう。」
頬をスッと撫で甘く囁かれる。普通ならクラッとクるんだろうけど、彼の場合単に面白がっているだけだろうから軽く受け流しといた。
「冷てぇなぁ…。」
「ほら、もう寝るよ。」
布団を捲り彼を迎い入れると嬉しそうにしながら抱き着いてくるので拒むに拒めない。
「おやすみ。」
「おやすみなさい、ドフラミンゴさん。良い夢を…。」
甘える様に胸に擦り寄ってくる頭を撫で私は眠りに落ちた。
ーーーーーー
ドフラミンゴ side
穏やかな寝息を立てる花子に呆れちまう。こんな無防備に寝やがって襲われても文句は言えねぇぞ。
(こいつにはそんな事したくねぇ…。)
気紛れに抱いて飽きれば捨てれば良い。女なんてそんなもんだ。だが、目の前にいるこいつにはどうもそんな気が起きねぇ。
(…俺も甘くなったもんだ。)
そろそろ寝るかとぎゅっと花子を抱き締めれば、柔らかな胸の感覚と甘く脳を刺激する香り。
「…。」
ゴクリと生唾を飲みそっと花子の胸に手を置く。少しだけ…少しだけ触るだけだ。
「んっ…」
「…柔けぇ。」
少し指に力を入れると聞こえてくる声。駄目だと思いながらも俺の指は別の生き物の様に動きを止めねぇ。
「ん…ぁ…んっ…」
鼻から抜ける掠れた声にこれ以上は駄目だと理性を働かせ手を離す。
「っ餓鬼かよ。」
沸き上がる欲を頭から振り払い身体の熱を冷ます様に俺は眠りに着いた。