第20章 愛と情熱の国
"ドレスローザ"に着いた花子は驚きを隠せずにいた。あの冷酷卑劣唯我独尊なドフラミンゴが治めている国だからどんな荒んだ国かと思えば、国は活気に溢れ国民はドフラミンゴに歓声を上げている。
「…ドフラミンゴさんて慕われているのね。」
「フフフッ!俺は優しい男だぜ?」
「…どの口がほざいているの?」
国王の帰還に群衆は笑顔を見せ手を振る者も。それに答えるドフラミンゴを花子は苦々しげに顔を歪めた。
「さぁ着いたぞ、俺の城だ。」
目の前に現れた大きな城。空に届きそうな程高く聳え立つ建物は彼の威厳、そして権力を象徴している様に見えた。
「若様!お帰りなさいませ!」
「ドフィ~!待ってたぞぉ~!」
「フフフッ!留守中は問題無かったか?」
城の前には彼の帰りを待っていたファミリーの姿。ドフラミンゴも家族の姿に顔を綻ばせている様に見える。
「んねぇ~、ドフィ~。こいつが例の奴かぁ~?」
「あぁ、トレーボル。今日からこいつも城に住む。」
トレーボルと呼ばれた男は鼻水が垂れる顔を花子に近付け顔を覗き込む。
「ちょっと近付かないで、汚い。」
「ん~?生意気な奴だなぁ~?」
「てか、良い大人が鼻水垂らすのはどうなの?ダラシない。」
「ドフィ~!こいつ殺していいかぁ~?」
ぬっと顔を近付けられ花子は不快だと顔を歪ませる。彼女の言動に腹を立てたトレーボルが声を上げるが、ドフラミンゴは可笑しそうに笑って止める。
「こいつは駄目だ。俺にとっても必要だからな。」
「んぬ~!ドフィが言うなら許してやる~!」
お前も口には気を付けろと釘を刺されたが、花子はふいと顔を背けドフラミンゴの後を付いていった。
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城の中に入った花子はベビー5と名乗るメイドの格好をした女に部屋を案内された。
「今日からあんたの部屋よ。何か必要な物があったら私や使用人に言うのね。」
「…ありがとう。」
ここまで案内して貰ったからお礼を伝えるのは当然。しかし花子の言葉にベビー5はポッと頬を赤く染めた。
「私、役に立てたっ?!」
「は?」
「私、必要とされてる!」
「…凄く助かったわ、ありがとう。」
もう1度お礼を言うと嬉しそうにするベビー5に花子は変わった子だなぁと苦笑いを浮かべる。