第19章 桃色鳥にご注意を
花子 side
サブンと海に落ちる音が聞こえた。あの高さから落ちたら…きっと助からない。
(何で…何でよっ!)
どうしてミアさんが死ななくちゃいけないのっ!?彼女は只…。
ー若様はね…私にとって全てなの…。ー
「っ!」
私は怒りに任せてドフラミンゴさんの服を乱暴に掴み睨み付けた。
「何でミアさんを死なせたのよっ!彼女は貴方の為にっ!」
貴方の事を愛さしていたからっ!貴方の為にやってきたじゃないっ!
「…本当にあいつはよくやってくれた。」
「だったらっ!」
「だが…あいつは俺を裏切った。もっと頭の良い女かと思っていたが。」
馬鹿な奴だと嘲笑うドフラミンゴさんにカッと頭に血が上り腕を振り上げたけど呆気なくそれは阻まれた。
「フフフッ!威勢がいいな。」
「煩いっ!離せっ!馬鹿っ、アホッ!」
暴れる私をドフラミンゴさんは引き寄せるとガッと顎を掴み上を向かせる。サングラス越しに注がれる狂気染みた視線に身体が強張った。
「お前はもう俺からは逃げられねぇ。」
「私には関係ないっ!帰してっ!」
「ヴィヴィアンも最後に良い仕事をしてくれた。お前の代わりに部下を送り込むとはな。」
「どう言う…っ?!」
ニヤリと笑みを浮かべるドフラミンゴさんにサァッと背筋が凍るのを感じた。彼の部下がジルさんのお店にいるって事は…!
「そんな事したらシャンクスさんが黙ってないわよっ!」
「あぁ。だが、赤髪が島に到着するのと俺が奴をけしかけるのと、どっちが早いか…馬鹿な花子ちゃんでも分かるよな?」
「?!」
いやっ…。
ーお前は俺の大事な娘だ。ー
「フフフッ!仲良くやろうぜ?」
ジルさん…私はもう戻れないの…?
ーーーーーー
ぷるぷるぷる
1匹の電伝虫の声が店に響き渡る。仕込みをしていたジルは作業の手を止め受話器を取った。
「もしもし、どう言ったご用件でしょうか?」
《…ジルさん。》
「おぉっ!花子か!旅行は楽しんでるか?いきなりミアにお前を貸してくれって言われた時は驚いたが元気にしてるか?」
久々の花子にジルは声を弾ませるが電話口の彼女の異様な雰囲気に首を傾げる。
「どうした?拾い食いでもして腹壊したか?」
《…ジルさん、私…もう島には戻れない。》