第19章 桃色鳥にご注意を
ミアの口利きもあり島に下りる許可を貰った花子は上機嫌で甲板に出た。
「…分かっていると思うが「逃げよう何て思ってません!ミアさんの側を離れません!2時間後には帰ってきます!」
「…ヴィヴィアン。しっかり見張っていろよ。」
「お任せください、若様。」
食い気味に約束事を口にする花子にドフラミンゴは不安だと言う表情を浮かべるも、見張り役のミアが優しく宥め2人は船を下りた。
「ミアさん、ありがとう!ドフラミンゴさんにお願いしてくれて!」
「…あのままだったら本当に花子ちゃん、キノコ栽培しそうだったから。」
部屋に戻った花子は完全にイジケてしまい部屋の隅でのの字を書く始末。ジメッとした空気に流石のドフラミンゴも許可を出さずにはいられなかった。
「早く行きましょう!」
時間は限られていると手を引く花子にミアは悲しそうな笑顔を向ける。
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島を見て回っていた花子にミアは行きたい所があるから付き合って欲しいと言う。木々が生い茂る道を抜け海が見える岩壁に花子達は辿り着いた。
「わあっ!綺麗っ!」
キラキラと輝く海面。しかし、下を覗き込むと荒波が壁を叩き付け落ちてしまえば一巻の終わりだろう。
「ミアさんの来たかった場所は此処ですか?」
「…花子ちゃん。」
自分を見つめるミアの雰囲気に花子は違和感を覚える。このまま彼女とは2度と会えなくなってしまいそうなそんな気がした。
「此処を真っ直ぐ進めば下に降りられる場所があるわ。そこの近くの洞窟に小舟を用意しているからそれを使って逃げなさい。」
「何を言って…?」
「貴女は…此処にいてはいけないわ。」
突然逃げろと言うミアに花子は頭が追いつかずにいる。
「…若様にはね、弟がいたの。私にとって若様が1番だけどその人も大切な家族だった。」
ーお前の笑顔は花の様だな。ー
「…私はもう大切な人を失いたくないっ。」
「ミアさん…。」
花子は迷っていた。今此処でミアの言う通りにすればジルの元に戻れるかもしれない…。
(でも…そうしたら、ミアさんは…。)
もし自分が逃げたと分かればドフラミンゴは彼女に何をするか分からない。その時、誰かが後ろから花子を抱き竦めた。