第19章 桃色鳥にご注意を
花子 side
ドフラミンゴさんの船での生活は快適だ。流石、王様の船。設備にしてもご飯にしても全てが完璧過ぎる!
「…暇だ。」
でも、やる事のない私はいい加減腐ってしまいそう…。コハクと遊ぶのは駄目だし、掃除や洗濯等家事をする必要も無い。
「花子ちゃん、お茶を持ってきたわ。」
「ミアさんっ…!」
カートを押し部屋に入ってきたミアさんに嬉しくてベットから飛び起きた。退屈な船の生活の中で彼女とのお茶の時間が唯一の私の至福の時!
(太ってしまわないか不安だけど…。)
コハクと遊ぶ以外に運動をしてこなかった私は、最近ふくよかになったお腹回りに明日から運動しようと心に決め、ミアさんの入れてくれた美味しいお茶をひと口飲んだ。
「はぁ~…幸せ~…!」
「ふふっ、喜んでもらって嬉しいわ。」
くすくすと笑うミアさんは本当に綺麗で、何でドフラミンゴさんにあんなにご執心なのか不思議なくらい。
「それでね、今日若様が…。」
「ふむふむ…。」
ドフラミンゴさんの話をするミアさんの声に耳を傾けていると、突然申し訳無さそうな顔をして肩を縮こませた。
「ごめんなさい!私の話ばかり…つまんなかったわよね…。」
「んえ?そんな事無いですよ?」
「でも…。」
「私、ドフラミンゴさんの話をしている時のミアさんの顔好きです!パッてお花が咲いた様に幸せな気持ちになります!」
「?!」
そう言うとミアさんは驚いた様に目を見開いた後、何でか悲しそうな…切なそうな顔をした。
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私達が乗っている船は物資の調達の為、ある島に立ち寄った。当然、私は島に下りる事は出来ず流石に我慢の限界を超えた私はドフラミンゴさんの部屋を訪れた。
「暇です!」
「…だから何だ。」
突然何を言い出すんだと言いたげに口をへの字にしたドフラミンゴさんの意外な顔に、思わず見入ってしまったけどそれどころじゃない!
「私も島に下りたいです!」
「駄目だ。」
「何でですか!ずっと部屋に閉じ込められていたら腐っちゃいますよ!キノコ生えてきますよ!?」
船から出せと騒ぎまくる私にドフラミンゴさんは重い溜め息を漏らすと、私の首根っこを掴みポイッと部屋から追い出した。
(何でよー!ケチー!)
(…煩ぇ。)
(若様、少しくらいは…本当にキノコ生えそうですよ…?)