第19章 桃色鳥にご注意を
花子 side
私は用意された部屋で今後の事を考える。部屋の外は常に見張られているし、外も多分同じだよね…。
「完全に袋の鼠だぁ…。」
せめてジルさん達と連絡が取れたらシャンクスさんに知らせる事が出来るのに…。此処から逃げ出す方法を考えていると扉をノックする音が聞こえる。
「花子ちゃん、いいかしら?」
「…どうぞ。」
部屋に入ってきたミアさんは苦笑いを浮かべると、カートに乗ったお菓子や紅茶をテーブルに並べていく。
「良かったらお茶でもどう?」
「…いただきます。」
目の前にある紅茶をひと口飲むとその美味しさに不思議と緊張が解れていく。思わず顔を綻ばせるとミアさんは可笑しそうにくすくすと笑っている。
「お口に合って良かったわ。」
「とっても美味しいです。」
悩んでも仕方無いと半分諦めた私は今このお茶の時間を楽しむ事にした。取り分けられたお菓子も食べてみるとビックリするぐらい美味しい!
「そう言えばミアさ…ヴィヴィアンさんはいつからドフラミンゴさんの所に?」
「ミアでいいわよ。若様のファミリーに入ったのは随分昔…。私が幼い頃よ。」
ドフラミンゴさんの話をするミアさんはとても幸せそうで、本当に彼の事を慕っているのが分かる。
「…ミアさんの好きな人って、ドフラミンゴさんですか?」
「…やっぱり分かる?」
「まぁ…。」
あんだけ恋する乙女みたいな顔をしてれば流石の私も分かるよ。私の反応に恥ずかしそうに頬を染めるミアさんは文句無しに可愛い。
「私ね…孤児だったの。海賊に親を殺されて私も売られそうになって…。そんな私を若様が助けてくれたの。」
「…憎く無かったんですか?」
「初めは思ったわ…海賊なんて!って。でも…若様はこう言ってくれた。」
ー俺がお前の新しい家族になってやる。俺はお前を置いては行かねぇよ。ー
「嬉しかった…。私は1人じゃ無いんだって…私にはまだ家族がいるんだって…そう思ったの。」
恍惚とした表情のミアさんに私はゾクリとした。この人は…ドフラミンゴさんに心酔しているんだと…。
「若様の為なら…この命…いくらでも差し出す事が出来るわ…。」
ここまで言わせるドフラミンゴさんを…私は怖いと思った…。