第19章 桃色鳥にご注意を
「改めて自己紹介をしよう。俺はドンキホーテ・ドフラミンゴ。王下七武海の1人であり、"ドレスローザ"国王だ。」
「…花子です。」
コハクを大人しくさせ事態が落ち着きドフラミンゴは花子を自室に招いた。椅子に座り長い足を優雅に組む彼を花子はじとりとした目線で見つめる。
「…ドフラミンゴさん、海賊だったんですね。」
「おいおい、随分余所余所しいじゃねぇか。前みたいに話してくれていいんだぜ?」
「…一応、王様なんで。」
フイッと顔を背ける花子の態度にさして気にする事無く、早速本題に入ろうとするドフラミンゴに花子は彼の隣に控えているミアに視線を向ける。
「ミアさんは貴方の仲間ですか?」
「あぁ、こいつは俺の大事なファミリーだ。本名はヴィヴィアン。」
大事なと言う言葉に花子は何故か違和感を覚えたが、頬を赤く染め嬉しそうにするミアの表情に何かを察し口をつぐんだ。
「それで?私を連れて来たのは貴方ですよね?」
「あぁ、お前には俺と一緒に"ドレスローザ"に来てもらう。」
「…それは貴方に何の得があるんです?」
「大いにあるな。」
自分がドフラミンゴの国に行って彼に何の得があるのか。いまいち彼の目的が分からない花子は下手に逆らうより、従う方が最適だと大人しくしておく事にした。
「取り敢えず、ジルさんに連絡していいですか?心配していると思うので。」
「それなら大丈夫よ。」
花子の申し出にミアが大丈夫だと口を開く。どうやら、ジルにはミアが暫く花子を借りると事前に話は付けていた様だ。
「花子ちゃんの代わりもちゃんと手配しているわ。」
「…初めから私を拐うつもりだったんですね。」
「…ごめんなさいね。突然、連れ出しちゃって。」
申し訳無さそうに眉を下げるミアに彼女はドフラミンゴに命令されただけだろうと思い、花子は大丈夫だと首を振る。
「"ドレスローザ"までは時間がある。それまで自由にして構わねぇよ。」
「…ありがとうございます。」
但し逃げ様としたら…分かるよな?と含みのあるドフラミンゴの口調に、逃亡は無理そうだと花子は肩を落とした。