第19章 桃色鳥にご注意を
花子 side
(よし!これで最後だね。)
いつもの様に薬を届けに行っていた私は急いでお店に向かっている。最後に届けた場所は町から少し離れていて思ったより時間がかかっちゃったよ。
(そう言えば…今日コハクの様子が可笑しかったな。)
コハクと別れる時、何故かコハクは私から離れ様としなかった。まるで行くなと言う様に服を咥えて…。
「甘えたい年頃なのかな?」
そう言えばコハクって幾つぐらいなんだろう?大きいし5歳ぐらいにはなってるのかな?そんな事を思いながら山道を下っていると、目の前に大きな人影が現れる。
「お嬢さん…ちょっといいか?」
その人は3mはあろう身長をゆっくりと屈ませ私を見つめる。個性的なサングラスからは表情は読み取れないけど、何とも言えない威圧感に身体を動かす事が出来なかった。
「道に迷ってな。町まで案内してくれねぇか?」
でも何でかな?私にはその人は独りぼっちの子供の様に見えたの…。
ーーーーーー
「へぇ~、じゃあお兄さん仕事でこの島に来たんだね。」
「あぁ、来るのは初めてでな。散歩をしていたら道に迷っちまった。」
大きなお兄さんはニヤリと笑みを浮かべ私を見下ろす。短く切り揃えられた金髪、鳥の羽根の様なモフモフとしたピンク色のコートを肩に羽織り、個性的なサングラスからは表情が伺えない。
「だからってこんな所まで来ちゃうなんて…もしかして方向音痴?」
「フフフッ!まぁ…そんなところだ。お嬢さんに会えてラッキーだったぜ。」
ゾロ君もそうだったなぁなんて思っていると、今朝ジルさんから見せて貰った新聞を思い出す。
(皆…元気にしてるかな?)
あの戦争以降、ルフィ君達の消息は分かっていない。一説には壊滅したと言う噂も出てきている。
(大丈夫だよ…皆なら!)
そんな簡単にやられる筈無いもん!きっと今も何処かで楽しく冒険をしている筈だよ!
「どうしたんだ?お嬢さん。」
「ううん、何でもないよ!後、私の名前は花子ね!お兄さんは?」
大きな身体を屈ませ私の顔を覗き込むお兄さんに私は笑顔を向ける。
「俺か?…俺は。」
この時、私は思いもしなかった。
「ドンキホーテ・ドフラミンゴだ。」
この人が…私の運命を大きく変える事になるなんて…。