第3章 初上陸
花子 side
何だか居心地悪くて私とイッカクはロー君達がいる席のすぐ近くのカウンターに移動した。
「ねぇねぇ、君1人?良かったら俺と飲まない?」
「え?」
隣を見てみるとイッカクが男の人にナンパされていた。彼女も海賊とは言え普通に綺麗だ。そりゃ声も掛けたくなるだろうね。
「いいよ~、私の事は気にせず行っといでぇ~!」
「でも…。」
私の事を気にしてるのかイッカクは心配そうに見つめる。ここにいれば皆いるし、何て言ったって最終兵器ベポがいる。大丈夫だと伝えると、イッカクは申し訳なさそうに男の人と何処かへ消えていった。
(女も溜まるもんは、溜まるよねぇ~。)
彼女の性格上同じ船のクルーとそんな事になるとは考えがたい。となるとこう言った飲み屋でしか出会いは無いのだ。
(我慢は良くない!)
そう思いお酒を飲みながらロー君達の方に目を向け、そして後悔した。何故ならロー君があのダイナマイトバディのお姉様と、あろうことかキスをしていた。
「ひゅ~!キャプテン、羨ましい~!」
「後、10秒ですよ!」
多分、何かのゲームをしているんだろう。そんな事を思いその様子をぼぉっと見ているとロー君と目が合った。
「…。」ニヤッ
「?!」
笑いやがった!あのスケコマシ!完全にからかわれている状況に私は苛立ちが募りグラスに入っているお酒を一気に飲み干した。
「ベポ!」
「どうしたの?花子。」
香水の匂いがキツいと私の隣に移動して来たベポに声を掛けた。
「私、ちょっと外に出てくるからロー君に伝えといて。」
「え?でも危ないよ。俺、付いていこうか?」
ここにいた方が精神衛生上、問題あるわ!とは言わないが、彼がいなくなったら流石にロー君も心配するだろう。
「大丈夫、時間を見て船に戻るから。」
「でも~…。」
なおも渋るベポに後はよろしくと伝え私は足早にお店を出た。
「はぁ~…。」
お酒の入った身体に夜風の冷たさが心地好い。
「切ない…。」
何で振り返ってしまったんだろう…何でロー君はあんな試す様な目で私を見たんだろう…。
「…帰ろ。」
ここにいたって仕方がないし、何より何も考えたくない。こんな時は帰って寝るのが1番!
(イッカクは上手くいったのかな?)
明日、色々聞こぉっと。