第3章 初上陸
買い物を終え1度荷物を船に置く為、花子達はポーラータング号に戻ってきた。2人の姿を見付けたクリオネはもう他のメンバーは店にいるぞと声をかける。
「クリオネは行かないの?」
「俺は船番だ。」
肩を落とすクリオネに変わろうかと花子が尋ねれば、この島のログが溜まるのに1週間掛かるから気にするなと断る。
「それに花子が船番だと心許ねぇ。」
「ひどっ!」
「まずそれ以前に花子、戦えないでしょう。」
酷い言われ様に肩を落とす花子をイッカクが引き連れ2人の背中をクリオネは笑顔で見送った。
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花子 side
「…わぉ。」
想像はしていたけど…酷いね。
「君、可愛いねぇ~!今夜、どうよ?」
「今夜空いてる?」
(…カオス。)
イッカクに連れてこられたお店では既に出来上がっているのか、外からも声が漏れ出していた。中に入ってみるとダラしなく鼻の下を伸ばした皆が綺麗なお姉様を口説いている。
「あっ!花子~!イッカク~!」
「お前等、遅ぇぞ!」
「…お待たせしました。」
ベポとシャチに呼ばれ私とイッカクはどんちゃん騒ぎしている彼等の席に腰を下ろす。美味しそうな料理、高そうなお酒。そして…。
(懐かしいなぁ…この感覚。)
元の世界にいた時、アフターでよくお客様に違うお店に連れて行かれた。それは見栄なのか…はたまた、焼きもちを妬かせたいのかは不明だが…。
(視線が刺さる…。)
こう言う場では良くある事。狙っている男性を盗られない様にお店の女性は牽制し合う。現にロー君や皆の隣にいるお姉様方は、鋭い目付きで私とイッカクを睨み付けている。
(ふ~ん…。ロー君、ああ言う人がタイプなんだ。)
渡されたグラスに口を付けながらロー君の隣を陣取っているお姉様方を盗み見る。絹の様な綺麗なブロンズヘアー、溢れ落ちそうな程の豊満な胸。ボンッキュッボンッとはまさにこの事だ。
(私には…無いものだな…。)
きっと彼は今夜彼女と熱い夜を過ごすんだろうなぁ…。そう思うとチクリと胸が痛んだ。
(はぁ…本当に…。)
何でこうも男運無いんだろう…。