第18章 2度目の航海
花子 side
レッド・フォース号にお世話になる私は1室を与えられた。俺と一緒の部屋で良いだろうと言ったシャンクスさんの提案は、全力でお断りしたけどね!
「エース君…。」
お風呂を借りてベットに腰掛け頭を過るのは彼の顔。心配するな、また会おうと笑顔で旅立った彼はもういない…。
「ふっ…!うぅ…!」
どうしてあの時…彼の手を離してしまったんだろう。行かないで、側にいてと…どうして言えなかったのだろう。
「花子、今いいか?」
「っ!シャンクスさん?どうぞ。」
扉を叩く音がして私は慌てて涙を拭い声をかけた。部屋に入ってきたシャンクスさんはいつもと変わらない笑顔で私の隣に腰を下ろす。
「何か困った事はないか?」
「全然!お風呂も入れたし、至れり尽くせりだよ!」
この気持ちを悟られ無い様に笑顔を向けるとシャンクスさんは困った顔をしている。
「それにしてもこの船は広いね!迷っちゃうかと思ったよ!」
「…花子。」
「前乗ってた船も大きかったけどっ、やっぱり個性があって…「花子!」
大丈夫…もう大丈夫…。そう自分に言い聞かせているとシャンクスさんが私を引き寄せ抱き締めた。
「ど、したの?甘えたくなった?」
「…無理に笑う必要はねぇんだぞ。」
「何、いって…!」
ポロリと頬を伝う感覚に私は泣いているのだと気付いた。どうして?もう泣かないって決めたのにっ…。
「ふうっ…!エース君と約束したのぉ…!もう…泣かないって…!」
「…。」
「ずっと、泣いてたら心配かけちゃうからっ…だから、笑顔でいるってぇ…!」
「今は…泣いていいんだ。」
止めて…そんなに優しくしないで…。だって…だって私なんかよりも、ずっと…!
ーエースは俺の兄ちゃんなんだ!ー
「ルフィくんの方がっ…もっと辛いのにっ…!」
エース君の話をしている時のルフィ君は本当に楽しそうで…ルフィ君の話をしているエース君も嬉しそうにしてた。
「ルフィくんが泣きたい分…私が笑ってないとっ…!」
じゃないと…エース君が心配しちゃうよっ!
(ごめんね、エース君…!もう泣かないって決めたけど…だけど…。)
今はまだ貴方を思って泣いてしまう事を…許して…。