第17章 もう1度…
ルフィ、ロー、キッドを追って花子達も会場を出た。億越えルーキー3人が相手となると苦戦しているのか海軍は防戦の一方。
「報告!海賊共の中に一般人がいるもようです!」
「何っ?!人質とは卑怯なっ!」
花子とジルの姿を確認した海軍は2人が人質に取られていると思ったのか、攻撃の手を止めた。その状況にキョトンとした顔をした花子がジルに耳打ちをする。
「ねぇねぇジルさん。私達、捕まった振りしてた方が良さそうじゃないですか?」
「…確かにな。」
そうと決まれば花子はサンジに凭れ掛かると大きく息を吸い込み悲鳴を上げた。
「きゃあっ!海兵さん、助けてっ!?」
「…花子ちゃんっ?!」
「俺達がまだここにいるんだっ!攻撃しないでくれっ!」
涙を浮かべ助けを求める花子と海軍に必死に訴えかけるジルに皆ぎょっとした顔をするが、海軍の様子に2人の意図を汲み取ったサンジは花子の肩をぎゅっと抱き寄せた。
「おのれっ!卑劣な真似をっ…!」
「もうすぐ大将がくる!大人しく人質を解放しろっ!」
「…何か俺達の罪科増えてねぇか?」
「ここまでくりゃあ今更だろ。」
少し強引な手ではあるが今はこの場を切り抜けるのが重要。げんなりとした顔のウソップにフランキーがけろっとした様に答えると、麦わらの一味を迎えに来たトビウオライダーズが到着した。
「若旦那達っ!お迎えにあがりましたぁ!」
「よし!ずらかるぞ!」
「ちょっと待って、サンジ君。」
自分を抱えトビウオに乗り込もうとするサンジに声を掛け花子はローの方に顔を向けた。
「ロー君!私、もう大丈夫だよっ!」
「花子っ!」
「だから…気にしなくてもいいんだよっ!」
花子を追おうとするローに彼女はにっこりと微笑んだ。自分は大丈夫…だから貴方も幸せになってと…。
「しっかり掴まっててくださいっ!」
「花子ちゃん、行くよ!」
「それじゃあ元気でね!キッド達も気をつけて!」
「おい、待て!花子を置いてっ…くそっ!」
トビウオに乗り飛び立った花子の姿を見つめローは顔を歪め苦々しげに唇を噛んだ。