第16章 シャボン玉飛んだ
花子 side
レイさんはケイミーちゃんの首輪を意図も簡単に壊した。それはもうグシャッとしてポイッて!握力ゴリラかってぐらいに。
「おいおい!何だ今の!?もう首輪も手錠もねぇじゃねぇかよっ!見ろ!やっと見つけて来たのにっ!」
舞台袖からフランキーさんが飛び出してきた。その手にはケイミーちゃんの首輪の鍵。折角手に入れたのに努力が水の泡となってしまいフランキーさんは舌打ちを溢す。
「フランキーさん!鍵ちょうだい!」
「ん?…あぁ、そう言えば花子も捕まってたな。」
「酷いっ!」
完全に私の存在忘れてたよねっ?!ポイッとジルさんに鍵を投げ渡すとやっと私を拘束していた枷が外れた。
「よし、これで大丈夫だ。」
「わぁ~ん!ジルさんっ怖かったよぉ~!」
「…よしよし。」
自由になった腕で私はジルさんに抱き着いた。腕が使えないだけでこんなに不自由だとは…。改めて五体満足に産んでくれた親に感謝だよ!
「悪かったな、君等…見物の海賊だったか…。今のを難なく持ち堪えるとは半端者ではなさそうだな。」
「まさかこんな大物にここで出会うとは…。」
「"冥王"シルバーズ・レイリー…!間違いねぇ。何故こんな所に伝説の男が…。」
「ジルさん、レイさん有名人?」
「…お前は。」
ロー君やキッドの様子からしてレイさんは凄い人なんだと言う事が分かる。ジルさんに尋ねると呆れた顔をしながら説明してくれた。
「レイさんは元海賊王のクルー。しかも右腕だった人だぞ!」
「…へぇ~、レイさん凄い人だね!」
「…俺はお前を尊敬するぜ。」
「ははっ!もう昔の事さ。この島じゃコーティング屋の"レイさん"で通っている…。下手にその名を呼んでくれるな。もはや老兵…平穏に暮らしたいのだよ。」
レイさんはステージを降りると目の前に来て何だか申し訳無さそうに私の頭を撫でた。
「すまなかったね。花子にさっきのはキツかっただろ?」
「うん?」
さっき?何かあったの?よく分からず首を傾げるとレイさんは可笑しそうに笑っている。
「君は本当に面白いな!」
「ありがとう?」
よく分からないけど、一応お礼を言ったらまた大口開けて笑われた。何故?