第16章 シャボン玉飛んだ
「さぁ!魚!死ぬアマス!」
「止めてっ!?」
金魚鉢に繋がれているケイミーは動く事が出来ない。天竜人の女が引き金を引こうとした時、ステージから電流の様な衝撃波が流れ込んできた。
「「「っ?!」」」
言葉に表せられないプレッシャー。身体を動かす事すら出来ない状況に顔を歪める者もいた。ケイミーに銃口を向けていた天竜人の女は引き金を引く事無くその場に倒れ、彼女同様気を失う者が次々と現れた。
「ほら見ろ、巨人君。会場はえらい騒ぎだ。オークションは終わりだ。金も盗んだし…さぁギャンブル場へ戻るとするかね。」
メリメリと音を立てステージの壁が裂ける。そこから姿を現せたのは巨人族の男と、牢屋の中で花子と話をしていた男だった。
「あっ!レイさ~ん!」
「ん?花子じゃないか!心配していたんだよ。」
「何とか大丈夫~!」
「それは良かった。」
先に連れて行かれた花子を彼は心配していた。しかし、元気そうな彼女の姿にホッと安堵した様な表情を見せる。
「レイさんじゃねぇか!何でここに…?」
「ん?君はジルか!久し振りだね。いや、何、金が無くなったので、あわよくば私を買った者から奪おうと思ったのだよ。」
収穫はあったと、金が入った袋を見せ飄々とした物言いをする男にハチの弱々しい声が聞こえる。
「レイリー…!?」
「おぉっ!?ハチじゃないか!そうだな!?久しぶりだ!…何しとるこんな所で。その傷はどうした!」
ハチの姿を見たレイリーは嬉しそうに破顔させ尋ねるが、会場を見渡し思考を巡らせると近くにいたケイミーに目線を向ける。
「あ~…いやいや、言わんでいいぞ。ふむ…ふむふむ…つまり…成程。まったく酷い目に遭ったな、ハチ。」
1人納得した様に頷き周りを見渡すと、お前達が助けてくれたのかと、レイリーは柔らかく微笑む。しかし、ある1人の人物を目に写した時彼の表情に変化が見られた。
「その麦わら帽子は、精悍な男によく似合う。」
ルフィを見つめるレイリーは挑発的にニヤリと笑みを浮かべる。
「会いたかったぞ。モンキー・D・ルフィ。」
不敵な笑みに、ルフィがふっと頭にある麦わら帽子を手で押さえた。彼の肩が微かに震えたのを感じ花子はルフィの顔を覗き込む。