第16章 シャボン玉飛んだ
天竜人が殴られたとあって会場は大混乱。逃げ惑う群衆をよそに女の悲鳴が響き渡る。
「チャルロス兄さま~!お父上様にも殴られた事など無いのに~!」
「おのれ!下々の分際でよくも息子に手をかけたな!?」
「…今時そんな人いるんだね。」
「取り敢えず、お前は後で拳骨だ。」
ピンと張り詰めた空気に花子は冷たい視線を彼等に向ける。後で説教だと言うジルに肩を震わせると逃げる様にルフィに擦り寄った。
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ウソップ、ロビン、ブルックもトビウオライダーズと共に会場に乗り込んできた。天井から落下してきたウソップが天竜人を下敷きにしてしまったので罪科は増える一方だ。
「ルフィ、ケイミーは!?って、何で花子がここにいるんだぁ?!」
「あそこだ!首に着いた爆弾外したらすぐ逃げるぞ。軍艦と大将が来るんだ!」
ルフィの腕の中にいる花子にウソップがぎょっと目を見開き、ルフィが簡単に説明をしていると、不意に落ち着いた声が聞こえてくる。
「海軍ならもう来てるぞ、麦わら屋。…後花子を寄越せ。」
声のする方に顔を向ければ悠然と椅子に身を預け座るローの姿。
「何だお前。…何だその熊。後、花子はやらねぇ。」
「海軍ならオークションが始まる前からずっと、この会場を取り囲んでる。この諸島に本部の駐屯地があるからな。誰を捕まえたかったのかは知らねぇが…。まさか天竜人がぶっ飛ばされる事態になるとは思わなかったろうな。…早く寄越せ。」
「トラファルガー・ローね、貴方…。ルフィ、海賊よ、彼。」
「熊もか?」
冷静に事態を説明するローにロビンが彼の事を説明する。しかし、ルフィはベポの方が気になる様でじっと自分を見つめるルフィの視線に、ベポは何故か頬を赤らめる。
「しょ…少々お待ちを…シャルリア宮。その商品はまだお支払いが済んでませ…っ?!」
弱々しい声が銃声に掻き消される。ステージに目を向けると天竜人の女がディスコを撃ち抜き、金魚鉢の中にいるケイミーに銃口を向けていた。
(ルフィ君!ケイミーちゃんがっ!)
(寄越せ。)
(嫌だ!)
(…そいつは俺のだ。)
(違う!俺のだ!)