第16章 シャボン玉飛んだ
ルフィが殴り飛ばした天竜人はいくつもの座席を破壊し地面に転がり落ちた。ざわめき立っていた会場は時間が止まった様に静まり返る。
「悪い、お前等。こいつ殴ったら海軍の大将が軍艦引っ張ってくんだって。」
「…お前がぶっ飛ばしたせいで斬り損ねた。」
謝ってはいるもののその声色からは反省の色は伺えず、けろりとしたルフィの顔にいつの間にか抜刀していたゾロが溜め息を漏らす。
「ハチ、しっかりして!」
「ニュ~…!お前等…大変な事を…!それに、お前もっ…!」
「なぁ、何で花子がいんだ?」
弱々しく訴えるハチにナミが駆け寄り手を添える。彼から身体を起こした花子を見つめルフィが首を傾げた。
「レディっ!」
「ん?」
突然、怒号が響き渡りカバネが鬼の形相で花子に近付きバシッと彼女の頬を打った。
「んんっ!?」
「花子っ!」
「おっと、近付かないでいただきたい。少しでも近付けば彼女の首が吹っ飛びますよ。」
床に崩れる花子を助け様とルフィ達が近付こうとするとカバネが爆弾のスイッチをチラ付かせる。それを押せば花子の首輪が作動し爆発してしまう。
「よろしい。…それにしてもレディ。貴女…よくも私の顔に泥を塗ってくれたね!」
「んっ!」
「花子っ!おい、止めろっ!」
髪を引っ張られ無理矢理起こされた花子の顔が歪む。しかし、カバネは愉快そうに笑みを浮かべ彼女の顎をがっと掴んだ。
「まったく…大人しく私に媚び諂っていればいいものの。貴女の様な下賎な者はそうしているのがよくお似合いだ!」
「っ!」
「何だ?その反抗的な目は。…1度躾をしなければいけないね。」
キッと自分を睨み付ける花子をさも楽しそうに見つめ、彼女の髪を掴むと引き摺る様に歩き出した。
「止めてくれっ!花子に酷い事をしないでくれっ!」
「彼女は私が買ったのです。どう扱おうが「"シャンブルズ"」
「?!消えた?!」
ジルがカバネに声を上げるが彼の手に首輪のスイッチが有る限り手が出せない。すると突然、花子の姿が消えた。
「…随分と俺の女に手荒な真似をしてくれたな。」
怒気の含んだ地を這う様な低い声。そこには大事そうに花子を抱えるローの姿があった。