第16章 シャボン玉飛んだ
花子 side
(何か…もう頭痛くなってきた…。)
どんどん跳ね上がる私の金額に目眩がしてきた。いや…ありがたいよ?!ありがたいけど…!
(お金は正しく使いましょう?!)
億って!60万はムカついたけど…億って!そんなお金は私返しきらないんだけどっ!?
「…5億だ。」
(ごおくっ…?!)
ロー君の言い放った金額に目が霞む。彼の後ろにいたペンギンが何か耳打ちしてるからきっとギリギリの金額を提示したんだと思う。
《でっ…出ましたぁ~!5億ベリー!さぁ、他に名乗りを上げる方はいませんかぁ~!?》
司会者の煽りにキッドは悔しそうに顔を歪めキラーさんが宥めている。多分、予算外に到達したのね。
(馬鹿なの?!金銭感覚大丈夫?!)
そりゃあ、変な人に買われるよりもロー君に買われた方がいいけど…。それより何でロー君はそこまでして私を買おうとしてるんだろう?
(ヒィッ?!)
ふとロー君の方に目を向けるとギラギラと妖しく光る瞳を向けられゾクリと身体が震えた。
「…10億だ。」
「?!」
《じゅっ10億です~!破格の10億~!》
私のオークションもこれで終わりかと思った時、会場に落ち着いた声が響き渡った。目を向ければシルクハットを被ったダンディーなおじ様が平然と手を上げている。
「あの人…カバネ公爵様よ。」
「えっ?あの有名な?」
周りの観客の人がヒソヒソと話している。どうやら10億なんて馬鹿げた事を言ったおじ様は有名人らしい。
「名乗りを上げる方がいないと言う事は私が頂いてもいいのかね?」
《はっはい!それでは10億ベリーでカバネ公爵様、落札でごさいます!》
(え…嘘…。)
わあぁっ!と歓声が沸き起こる中、ロー君とキッドに顔を向ければ2人共悔しそうな顔をしている。いや、そうだよね!10億って…!
(私…買われちゃった…。)
もうジルさんの元に戻れない…そう思うと堪えていた涙が零れ落ちた。
「よくやったぞ!初めは外れを売り付けられたと思ったが、大儲けだ!」
(この野郎っ!)
最後の最後まで失礼な奴だなっ!私の耳元で嬉しそう呟く司会者に腹が立ったからヒールの踵で足を踏んでやった。
(っ!てめ(娘をこちらに。)
(はっはい!すぐに!)
(…。)ふん!ざまぁっ!