第16章 シャボン玉飛んだ
花子 side
「ここで大人しくしていろ。」
「いったぁっ!?ちょっと女の子何だからもう少し優しく扱いなさいよっ!」
シャボンディパークで見た男の人の後を付いて行ってみると、尾行がバレたのか呆気なく捕まってしまった。何処かに連れて行かれ化粧やら着替えやらをされ、準備が整うと牢屋に放り込まれた。
「騒ぐなっ!くそっ…外れを売り付けやがって。」
「何ですって?!」
誰が外れよ!これでもお店では人気あるんだがからね!ぎゃいぎゃい騒ぐ私をよそに男の人は何処かへ行ってしまった。
「もう…ここ何処よ…。」
迷子センター…な訳無いか…。周りを見渡すと私と同じ様に首輪と手枷を嵌められている人達が暗い顔をして座っていた。
「あの…大丈夫?」
「ん?」
取り敢えずあのヘンテコなサングラスをした男は引っ叩くと心に決めていると、誰かに声を掛けられた。振り返りその声の主の姿に私は思わず目を見開いた。
「…人魚?」
「うん、そうだよ。」
綺麗な緑の髪に大きな瞳。抜群なスタイルの腰から下はピンクの魚の尻尾。人魚なんてお伽話の世界でしか存在しないと思ってたのに…!
「えぇー?!本当に人魚?!」
「えっ?」
「凄~い!初めて見た!陸にいても大丈夫なの?苦しくない?」
「うん…大丈夫。」
人魚って本当にいたんだ!私は初人魚にテンションが上がり先程のムカつき等何処かにいってしまった。
「可愛いね~!私は花子!貴女は?」
「ケイミー…。」
「ケイミーちゃんね!ねぇ、私と友達になってくれる?」
人魚の友達なんて初めて!ジルさんに後で自慢しよう!そう思っていると、何処からか笑い声が聞こえた。
「くくっ!いや、すまない。余りにも元気なお嬢さんと思ってな。」
「煩かった?ごめんなさい…。」
「そのぐらいが丁度いいさ。」
木の箱に腰掛けくすくすと笑っているオジさんは座るかいと少し隙間を空けてくれた。
「ありがとう。ねぇねぇ、ここって何処か知ってる?」
「おや、お嬢さんはここが何処か知らないのかい?」
まぁ安全な場所じゃないって事は私でも分かるわ。
「ここは【ヒューマンショップ】。人が人を買うオークションの会場だ。」
…ジルさん。約束破ってごめんなさい。