第16章 シャボン玉飛んだ
「花子ー!何処だぁー!?」
トイレから戻って来たジルは姿を消した花子に焦り、パーク内を大声で駆けずり回る。
「なぁ!この辺で黒髪のアホ面した小せぇ女見なかったか?!」
「いや、見てないが…。」
誰に尋ねても花子の事を見た者はいない、いよいよ迷子放送をするかと頭を悩ませていた時、1人の男がジルに声をかける。
「あんたが探してる女って肩ぐらいの黒髪の小柄な子かい?」
「見たのかっ!?」
「見たと言うか…。」
言葉を詰まらせる男にジルは何処で見たんだと詰め寄る。ジルの気迫に押され男は暗い顔をし口を開いた。
「見るには見たが…ありゃ駄目だ。」
「どう言う事だ?!」
「あんたの連れ…多分人攫いの後を付いて行ってたぞ。」
「?!」
男の言葉にジルは目を見開き、弾かれた様に駆け出した。
(くそっ!こんな事なら便所にも付いて来させるんだった!)
この諸島で人攫いが向かうとしたら1つしかない。最悪な事態にならない事を願いながらジルはある場所に向かった。
ーーーーーー
"シャボンディ諸島"の1番GRにある【ヒューマンショップ】。ここでは拐われた人や希少価値のある種族がオークション品として売りに出されている。
「いいから早くケイミーを返しなさいよっ!」
「…あいつ等は?」
会場の入口で門番と言い争っているのはジルもよく知っている顔ぶれ。
「サンジ!」
「ジルのおっさん!?何でここに?」
「ちょっと野暮用でな!お前等はどうしたんだ?」
サンジはジルに経緯を説明する。友達の人魚が拐われ辿り着いたのがこの場所。どんなに門番に問いただしても知らぬの一点張りで応じてもらえず、立ち往生していたと言う。
「そうか…お前等もか…。」
「等ってどう言うこった?」
はぁ…と肩を落とすジルにフランキーが首を傾げる。ここまできたら仕方が無いとジルは花子が拐われた事を話す。
「なっ?!花子ちゃんがぁ?!」
「何でよ!?」
「ちょっと目を離した隙にふらふらとあの馬鹿どっかに行っちまいやがったっ!」
(((あぁ…。)))
こんな事なら首輪で繋いでおくんだったと危ない事を口に出すジルに、彼の苦労が目に見えると哀れんだ視線を向ける。