第3章 初上陸
花子 side
「島だー!」
食事を終えお皿を洗っていると甲板から声が聞こえた。ぱっと顔を上げた私にクジラがここは良いから行ってこいと言ってくれて、有り難くその言葉を受け取り私は外に飛び出した。
「わぁ~!」
まだ小さいけどそこには確かに海に浮かぶ大きな島。元にいた世界でも見た事の無い光景に私の胸は大きく高鳴った。
「花子は島に着くの初めてだよね?」
「うん!すっごく楽しみ!」
この世界は本当に不思議な物が沢山。どんな物があるんだろう?ショッピングもしたいなぁ。
「あ…。」
私は重大な事を思い出してしまった…。
(私…お金持ってないっ!)
ーーーーーー
「と言うわけで、ロー君。お金貸してください!」
「…どう言う訳だ。」
文無しだと言う事を思い出し私はロー君に直談判しようと彼の部屋を訪れた。床に正座をし頭を下げる私をロー君はソファに腰掛け優雅に足を組み見下ろす。
「だってずっとイッカクの服を借りてるのも申し訳無いし、日用品も買いたい!」
正直に言うとショッピングがしたい!化粧品だって欲しいし、可愛い服も欲しい!
「駄目?」
「…はぁ。」
顔を上げ懇願する私にロー君は1つ溜め息を吐く。やっぱ駄目かぁ…。どうしよう、イッカクに借りる?それか日雇いのバイトを探すか…。そんな事を思っているとパサリと私の目の前に何かが落ちた。
「これは…!」
「これだけありゃ足りるだろ。」
そこには帯止めされた1万ベリー札。多分、円と同じ価値だと思うから100万はある。
「ありがとう、ロー君!お金は必ず返すね!」
「…返さなくていい。」
歓喜余り札束を握り締める私にロー君は鬱陶しそうな顔でいらないと突っぱねる。
「え?流石にそれは悪いよ。」
「正直、お前の貢ぎ物のお陰でうちは金銭的に潤っている。あれを換金すりゃ釣りがくるだろうよ。」
「?!」
その手があったかと今度から貰った物は少し取っておこうと心に決めると、それを察したかの様にロー君が鼻で笑った。
「それに、それはお前の働きに対する対価だ。」
「へっ?」
「お前は良く働いてくれている。今日の朝飯も…美味かった。」
「?!」
えっ?!何?ツンデレ?!ロー君、イケメンな上にツンデレまで習得してるの!?