第16章 シャボン玉飛んだ
花子 side
目の前には高く聳え立つ塔の様な入口。その先に見えるのは観覧車等の遊園地の乗り物が沢山見える。
「シャボンディパークだな。」
「シャボンディパーク?」
「まぁ、アトラクションが楽しめる場所だな。」
様は遊園地って事ね!シャボン玉に包まれた乗り物。中から聞こえる楽しそうな声。遊園地なんて何年振りかな?私はまた期待を込めてジルさんを見つめた。
「ジルさ~ん。」キラキラ
「…行くか?」
「やったぁ~!」
何だかんだジルさんは私に甘い。今も飛び上がって喜ぶ私を仕方無さそうに微笑んでいるから本当に甘い。
「いいか!中に入ったら「側を離れません!知らない人に付いて行きません!」
「…行くか。」
「はぁい!パパ♡」
ジルさんの手を引き私はシャボンディパークに乗り込む。…全てはここから始まった。
ーーーーーー
シャボンディパークの中はまさに夢の国。見た目も綺麗だし楽しそうに遊ぶ人達を眺めていると、こっちまで楽しくなっちゃう。
「はぁー!ちょっと休憩!」
「…楽しいか?」
ジェットスターに乗った後、少しはしゃぎ過ぎて休憩しようとベンチに座るとジルさんがいつの間にか買ってきたジュースを手渡してくれた。
「ありがとうございます!すっごく楽しい!」
「そうか。」
「ジルさん、ありがとうございます!連れてきてくれて!」
ぶっちゃけ大人のジルさんにはここは退屈だと思う。私が我が儘言って連れてきて貰ったけど、嫌な顔せずに付き合ってくれてる。
「お前の笑顔が見れたなら連れてきた甲斐があったな。」
私の頭を撫で優しく微笑むジルさんにポカポカと胸が温かくなった。のんびりしているとジルさんがトイレに行ってくると言うのでここで待つ事にした。
「…いいか?「ここから離れません!知らない人に付いて行きません!」
どんだけ信用無いの?!不安そうな顔をするジルさんに注意事項を暗唱し送り出した。
「もう…ジルさんってば心配性なんだから…。」
そんなに私って落ち着き無いのかな?ふよふよと漂うシャボン玉を眺めていると、視界の端で動く人影が見えた。
「…何だろう?」
男の人数人で何かを抱えてる。何かを覆う袋から覗くのは魚の尻尾の様なもの。
(ちょっとだけなら…いいよね?)
すぐ戻ってくれば大丈夫だと、私は彼等の後を追った。