第16章 シャボン玉飛んだ
花子 side
拝啓、父上様、母上様、お姉ちゃん。
後、その旦那とちびっ子2名。
お元気ですか?私は…。
《さぁ!皆様、お集まり頂きありがとうございます!ヒューマンオークション、開催致します!》
見世物小屋に売られましたっ!?
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「"シャボンディ諸島"?」
「あぁ、こっから数日で着く島があるんだが、年に1度漁船のメンテナンスでそこに行くんだ。」
「へぇ~!」
どうやらそのメンテナンスの日が今日らしい。いつもはアギトさんが行くんだけどエリーさんが臨月で側を離れられないから、お店を臨時休業してジルさんが行くんだって。
「…。」キラキラ
「…行くか?」
「行くっ!」
期待を込めてじっと見つめていると少し考えた後、仕方無さそうに溜め息を漏らし誘ってくれた。この島に来て初めてのお出かけ。嬉しくて小躍りしているとジルさんが首根っこを掴んできた。
「ただし!俺の側を離れるなよ!」
「アイアイッ!」
「1人でふらふらとどっかに行くなよ?菓子を貰っても付いて行くなよ?」
「ねぇジルさん…私アラサーですよ?」
小さな子供に言い聞かせる様にこんこんと念を押すジルさん。私の事何だと思ってるの?!
「大丈夫!パパの側は離れませんっ!」
「…不安だ。」
子供じゃ無いんだからお菓子貰ったくらいで知らない人に付いて行くわけ無いじゃない!
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「こりゃ思ったより上玉だぜっ!」
「人魚も手に入ったし今日はついてるな!」
(何故、こうなった?!)
何か悪そうな人に捕まって袋詰めにされた私。何故そんな状況になったかと言うと、それは少し前を遡る。
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無事、"シャボンディ諸島"に着いた私とジルさんは造船所があるブロックに船を着けホテルを取ると観光に向かった。ふわふわと舞うシャボン玉。沢山の屋台が立ち並ぶ町並み。初めての景色に私のテンションは爆上がり。
「ジルさん、ジルさん!見て見てっ!シャボン玉の中に自転車があるよ!」
「…ありゃボンチャリだ。」
「凄~い!シャボン玉の中に色んな物が入ってる!」
「…花子。頼むからあんまりウロチョロするな。」
目に入るもの全てに興味を示す私にジルさんは呆れた顔をするけど、こんな夢みたいな場所騒ぐなって言う方が無理だ!
「ジルさん、あれは何?」