第15章 仲間
何やかんやで騒がしい別れになったが、いざ船に乗る一味を見ると花子の胸から切なさが込み上げてきた。
「またなぁ~!」
「花子ちゅわぁん♡俺がいなくても泣かないでねぇ~!」
「言ってろ。」
「あ"ぁっ!?」
「うっさい!…花子!元気でねっ!」
「また会いましょう。」
「次お会いした時は、パンツ見せていただいてもよろしいですか?」
「「「見せるかっ!?」」」
「…皆元気だねぇ~。」
折角感傷に浸っていたと言うのに彼等の様子を眺めていると、流れるものも流れず花子は苦笑いを浮かべる。
「よぉし!野郎共ー!出航だぁー!」
ルフィの号令と共に帆が張り碇が上がるとサニー号はゆっくりと港を離れていく。彼等が目指す先は茨の道だろう。しかし、それに向かって真っ直ぐと進む彼等は花子には輝いて見えた。
「皆ぁ~!元気でねぇ~!いってらっしゃぁい!」
だんだんと小さくなっていくサニー号に花子が大きく手を振ると、一味もそれに答え声を上げる。
「花子!海賊王に俺はなる!」
「!」
「必ず迎えに行くから!その時は俺の船に乗れよ!」
「っ!楽しみにしてるね!」
力強く言い放たれたルフィの言葉。何故か花子はそれが現実になりそうな予感がした。
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花子 side
「行っちまったな。」
「良かったんですか?お別れの挨拶しなくて。」
もう見えなくなったサニー号の方を見つめているとジルさんがゆっくりと近付いてきた。本当はずっと近くにいた癖に出てこなかったジルさんは意地っ張りだと思う。
「…本当に良かったのか?」
「良いんですよ。彼等に付いて行くにはまだ私には覚悟か足りないから。」
「…。」
「それに!私がいなくなったらジルさん寂しくて泣いちゃいますよ~?」
何だか湿っぽくなった空気に戯けて見せると、私の頭に手を置きジルさんは優しく微笑んだ。
「そうだな。」
「…え?」
「昨日はあんな事言ったが…お前がいなくなるのは寂しく思う。」
「~!」
まさかそんな返答が返ってくると思わず、私は赤くなった頬を隠す様にジルさんに飛び付いた。
(それに、お前がいなくなると店の売上が落ちる。)
(んもぅ~!ジルさん、酷い!)