第15章 仲間
花子は今日も入り江に向かう。最近、サニー号で過ごす事も多くコハクと一緒にいる時間も少なく、拗ねているであろうコハクを思い浮かべ顔を綻ばせる。
(そう言えば、この島のログが溜まるのもそろそろだよね?)
麦わらの一味がこの島にきてログが溜まるまで後少し。そうなれば彼等はこの島を旅立ってしまう。
ー仲間になれよ!ー
彼等は海賊。自由に海を渡るのが当たり前だが別れの時が近付いていると思うと花子の中に寂しさが募る。
「今度はいつ会えるかなぁ…っのわぁっ?!」
次に彼等に会えるのはいつになるのだろうと、考えていると突然何者かが花子の腕を掴み岩影に引き摺り込む。岩に押し付けられ余りの恐怖に身体を強張らせた。
「ごめんなさい、ごめんなさい!私、お金持って無いですっ!?」
「…おい。」
命乞いをする彼女にその者は声を掛ける。固く閉じられた目をそっと開くと、そこには呆れた顔をするゾロの姿。
「ゾロ君?!もうっ!止めてよ~…。追い剥ぎかと思ったじゃない!」
見知った顔に安堵する花子。しかし、ゾロは何も言わず彼女をじっと見つめていた。
「ゾロ君…?離して?」
不思議そうに自分を見上げる花子にぐっと眉間に皺を寄せ、はぁ…と溜め息を漏らすとゾロはゆっくりと口を開いた。
「…お前、あいつとヤッたのか。」
「へ…?」
あいつとは誰の事か。正直、身に覚えが有りすぎて誰の事を言っているのか検討も付かない。
「あいつって?」
「…あのクソコックだ。」
「くそ…?あぁ、サンジ君ね。」
一瞬はてと首を傾げるがゾロの言う人物が分かり納得した顔をする花子に、ゾロは更に深く皺を寄せた。
「…何故だ。」
「何故って…まぁ成り行きで?」
「てめぇは優しくされりゃあ誰とでもヤるのかっ!?」
突然怒鳴り声を上げるゾロに花子はビクッと肩を震わせる。
「ゾロ君っ、痛いよ…!」
頭上で纏め上げられた両手首に力が込められ花子の顔が歪む。何故、こんなにも彼が怒るのか…花子には分からなかった。
「誰にでもヘラヘラしやがって…!ムカつくんだよっ!」
ガッと顎を掴み戸惑いを見せる花子の唇をゾロは力任せに噛み付いた。