第2章 目が覚めると
花子 side
「今日は快晴!洗濯日和!」
ハートの海賊団にお世話になって2ヶ月が経とうとしている。私の傷は完全に塞がり今ではお手伝いも任せて貰えるようになった。
(ポカポカ~…。)
もう痛みも無いのに皆は相変わらず私の事を何かと気に掛けてくれている。変わらぬ日常に思わず顔を綻ばせていると、背中にずしりと重みを感じた。
「惚けた顔してんなぁ。」
「…重いよ、ロー君。」
後から私を抱き締める様に覆い被さるのは、ハートの海賊団の船長であるロー君。ニヤニヤと意地悪そうな笑顔で私に体重を掛けている。
「どいて~、洗濯物干せない~!」
「鍛え方が足りねぇな。」
「君との身長差っ!」
あの宴から変わった事と言えばロー君がこうやって私にちょっかいを出す様になった。まぁ只の気紛れだろうし、彼のご尊顔を間近で拝めると思えば役得、役得!
「ぅひゃあっ?!」
「ほら、もっと腰に力入れろ。」
タトゥーだらけの大きなロー君の手はあろう事か私の腰をイヤらしく撫で上げた。てか、今お尻も触ったでしょ!
「どうした?腰が引けてるぞ?」
「やめっ!ロー君、くすぐった…!」
脇腹を撫でられ内股に手を這わすロー君は楽しそうにしている。私の肩に顎を置き耳元で囁く彼の声ったら、もう…。
(腰砕けるっ!)
「キャプテン!ベポが呼んでますよっ!」
「…チッ。」
(神様、女神様、イッカク様!)
私で遊んでるロー君にイッカクが声を荒げる様に呼び掛ける。
「続きはまた今度だな。」
「もっと普通に接していただきたい!」
ぐぬぬっと睨み付ける私を小馬鹿にする様に鼻で笑い、別れ際お尻を撫で上げるロー君は本当に手癖が悪い。
「花子、大丈夫?」
「イッカク~!ありがとうっ!」
心配そうに駆け寄るイッカクに私は飛び付く。彼女はいつもこうやって絶妙なタイミングで助けてくれる。
「もっと強く拒否しないと!」
「分かってるけど、あのご尊顔を見ると…。」
呆れた顔を見せるもイッカクはいつも私の事を気に掛けてくれる。そんな優しい彼女にも言えない秘密が私には1つある。
「花子は本当に優しいから…。」
それは…私が…。
(ロー君の事を…好きになってしまった事…。)
誰にも言えない…私の秘密…。