第14章 紳士の愛
花子 side
「おい、今日の新聞見たか?」
「いや、何かあったのか?」
「?」
今日もお店は人で賑わっていて、商売繁盛!満員御礼!そんな時、お客さんが話してる声が聞こえた。
「どうしたんですか?」
「花子ちゃん!いや、今日の新聞見た?」
「見て無いですけど…。」
そう言うとお客さんは1枚の手配書を見せてくれた。そこに載っている写真を見た瞬間、私の心臓がドクンと大きく脈打つ。
「この子って…。」
「トラファルガー・ローて知ってるか?億越えのルーキーで結構有名なんだが。どうやらこの子、そいつの所にいるみたいなんだよ!」
手配書には1万ベリーと書かれた金額、そして可愛らしい笑顔で写っているミラちゃんの写真が載っていた。
「随分と可愛らしい嬢ちゃんじゃねぇか!」
「あぁ、だが俺が驚いたのはこっちなんだ!」
お客さんが今度は新聞を取り出し目当ての記事を指差す。そこには何処かの島で撮られたのか、楽しそうに手を繋いでいるロー君とミラちゃんの姿。
「死の外科医の恋人ねぇ~。」
「驚きだろ?多分まだ15、6そこそこだぜ?」
「億越えのルーキー様も好き者ってか!」
ぎゃははっ!と上げるお客さんの笑い声なんて耳に入らず私はきゅっと息が詰まるのを感じた。そこに写っている2人は仲睦まじく、ミラちゃんを見つめるロー君の目は本当に海賊か疑うくらい優しいものだった。
(そっか…仲良くしてるんだね…。)
2人共元気にしてて嬉しい筈なのに…何でだろう…ツキンと胸が痛み締め付けられる。
「どうしたんだい?花子ちゃん。」
「具合でも悪い?」
「っ!うぅん!何でも無いですよ!やっぱり若い子の方が男性はいいんですかねぇ~!」
沈んだ顔をした私を心配そうに見つめるお客さんにハッとして慌てて笑顔を作る。俺は花子ちゃんが1番だよっ!て戯ける彼等にお礼を伝え仕事に戻った。
(もう…過去の事じゃない…。)
皆が…ロー君が幸せそうならそれでいいじゃない。でも、写真に写っているロー君の姿が忘れられない。
(どうして…ロー君が着けてるの?)
曝け出されたロー君の首元にはあの日私が置いていったネックレスがあった。