第13章 欲
花子 side
(ふふっ!動揺しちゃって可愛いなぁ~。)
服を乾かす為脱いでと言えばあからさまに慌てた様子のゾロ君。顔を赤くし動揺する姿が凄く新鮮で思わず顔がニヤける。
(ピュアピュアだなぁ~。)
きっと刀一筋でそう言う事に慣れていないのだろう。駄目だと思いながらも悪戯心が湧いてくる私は性格が悪いと思う。
「脱いだら干すから貸して~…。」
バサリと服を脱ぐ音が聞こえ振り返った私は目を奪われた。上半身裸になったゾロ君の身体は惚れ惚れする程逞しく、大きく刻まれた胸の傷もこれまで彼が潜り向けてきた修羅場の数々を思うとそれもまた美しく思えた。
「あ?何だよ。」
「いや、良い身体してるなぁ~と思って。」
細いけど無駄な脂肪は無くこんもりと盛り上がった腕なんかぶら下がりたくなる衝動に駆られちゃうよ!
「見惚れてんのか?」
「芸術的な肉体美だね。100点あげちゃうよ!」
何故かニヤニヤしているゾロ君に、御馳走様ですと手を合わせ濡れたシャツを受け取りハンガーにかけ干していると、背後から黒い影が覆い被さる様に現れた。
「…俺だけってのもフェアじゃねぇよな?」
「え?」
ボソリと耳元で呟かれ振り返るとニヤリと悪い顔をしているゾロ君。
「…顔、良っ!」
「…そいつぁ、ありがとよ。」
「うひゃあっ?!」
思ったより近くにあったご尊顔に思わず心の声が漏れ、服の中に忍び込んだ手の冷たさに変な声を上げてしまった。
「何っ?!突然っ?!」
「俺だけ裸見られてズリいだろ。お前も脱げ。」
「意味不明っ?!」
シャツを捲り上げようとするゾロ君の手を掴み抵抗するけどビクともしない!何でズボン下ろそうとするのっ?!
「ゾロ君、お風呂!お風呂入りなよ!」
「風呂?」
「身体冷えてるでしょ!風邪引いちゃうから温まっておいで!」
一瞬力が抜けた手をペイッと引き剥がすとゾロ君は何か考えた後、素直に頷く。
「じゃあ、ゆっくりと…のわぁっ?!」
「どうせだったら2人纏めて入った方が楽だろ。」
「?!」
突然抱え上げられてニヤリと笑うゾロ君に開いた口が塞がらない。この子は何を言っているのかい?
「いい!私は後で!」
「遠慮すんなって。」
「ここ私の家!」
人の話聞けっ!ケラケラと笑うゾロ君にされるがまま、私はお風呂場に連行されていった。