第13章 欲
ナミ side
ー俺は…花子が好きだ!ー
多分、そんな深い意味は無かったと思う。私達に対するのと同じ感情で花子の事をルフィは好きだと言ったのだと。
「花子は、ずっとこの島にいるのよね?」
「うん。て言っても半年ぐらい前の事だけど。」
驚いた事に花子は以前、海賊船に乗ってたんだって。だから、私達を前にしても怯える事が無いんだと納得する。
「元々は違う海賊に捕まって、売り飛ばされそうになった所をその人達に助けられたの。」
「…怖くなかったの?」
女性を捕まえて売り飛ばそうなんて、きっと最低な海賊よ!いくら助けてくれたからと言っても同じ海賊。恐怖は無かったのかしら?
「別に怖く無かったよ?」
「…同じ海賊よ。」
「確かに同じだけど、私は彼等に何もされてないもん。逆に怪我の手当てしてくれて、治るまで面倒見てくれたの。」
そんな人、怖いわけ無いと笑顔で言った花子は強いと思った。私はそうは思えなかった…。海賊は皆同じ…人から大切なものを当たり前の様に奪う最低な奴等。
ールフィ…助けてっ…!ー
ー当たり前だぁー!ー
私も…そう思っていた。
「…あんた、変わってるわね。」
「そうかな?だって、現にナミちゃんだって怖く無いし。」
呑気な花子に呆れるも不思議と嫌じゃ無い自分がいる。
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ロビン side
【我ここに至り。この文を最果へと導く。】
"空島"で見たポーネグリフにはゴールド・ロジャーが刻んだ文字が記されていた。彼も古代文字が読めるのか…それか別の誰かか…。それは分からないけど、それとは別に刻まれていた文字が私は気になった。
【その者、白き魔物を従え王となる者を玉座に導くであろう。】
これはポーネグリフとは別の石板にあった。白き魔物。それは伝説の生き物だと言われていた"スカイオルカ"。その身体は純白の雲の様に美しく、瞳は星の様に煌めき、神に仕える神獣。
「コハク~、サンジ君が果物くれたよ~。」
(まさか…彼女が…。)
スカイオルカを見た者はいない。けれど…もしあの鯱がそうなら…。
「ふふっ。うちの船長さんは見る目あるわね。」
どこか不思議な雰囲気を持つ花子。あの子自身にも興味が湧いてきたわ。