第13章 欲
ゾロ side
ルフィが連れてきた花子とか言う女。俺達が行く店の女で、チョッパーが好きだと騒いでいる変な奴。
「じゃあ、これと組み合わせれば止血剤になるのか?」
「そうですね。でもこっちの薬草と組み合わせれば逆に増血の効果があります。」
「…。」
薬に詳しいのか今花子はチョッパーとキッチンで薬について話し合っている。何の話をしているか分からねぇが、楽しそうに話す姿は本当に普通の女。
「花子ちゅわぁん♡俺特製ドリンクをどうぞぉ♡」
「ありがとう、サンジ君。」
クソコックがいつもの如く身体をくねらせ花子に茶と菓子を出す。マジでこいつ女だったら誰でもいいのか?
「…アホくさ。」
「あんだと、クソまりも!?てか、何でてめぇがここにいんだよ!」
シッシッと追い払う様な仕草にイラッとくるが、俺がここにいる理由は花子の監視だ。いくら何の力もねぇ女だからと言っても油断は出来ねぇ。
「この薬草、なかなか無いんだよ!何処で手に入れたんだ?!」
「いい仕入れ先があるんですよ。沢山あるから差し上げます。」
嬉しそうな顔をするチョッパーを見つめ赤くした頬を両手で押さえる花子の姿は、ガラにも無く可愛いと思っちまった。
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サンジ side
船に遊びに来た花子ちゃんは見る物全部が新鮮なのか、凄く楽しそうにしていた。その笑顔はまるで天使の様で、聞こえる笑い声は小鳥の囀ずりの様に可愛らしい♡
「凄く素敵な船だね!」
「うちには腕のいい船大工がいるからな。」
変態だがと言うと、船尾にいる花子ちゃんは可笑しそうにくすくすと笑う。
「何だか…懐かしくなっちゃった。」
「花子ちゃんは海賊船に乗っていたのかい?」
尋ねると彼女は頷きながら意外?と悪戯に微笑み穏やかな海を見つめている。
「少しの間だったけど…船の生活は凄く楽しかったよ。」
「…何で船を降りたんだい?」
ふとした疑問。楽しかったんなら何故降りたのか。もしかしたら降ろされたのかもと慌てて謝ると、彼女は指で俺の唇にそっと触れた。
「…内緒。」
「!」
眉を下げ笑う花子ちゃんにドクンッと胸が脈打つ。
(何故…そんな顔をするんだ?)
君にそんな顔をさせているのは…誰なんだ?