第12章 セカンドラブ
グランドラインを航海していたクック海賊団はある島に辿り着いた。その島は緑も海も豊かで活気ある島だった。何気無しに海岸を歩いていたジルはその時、1人の女と出会う。岩場に腰掛け綺麗に伸ばされた亜麻色の髪が風に靡く。髪を耳に掛け露になった横顔は美しく、ジルの中で雷が落ちた。
「その時思ったんだ…この女を俺のものにすると。」
「「「…。」」」
昔を懐かしむ様に柔らかく微笑むジルの顔に誰も何も言わなかった。ぐっと酒を呷りまた話し出そうとする彼を花子が止める。
「そして2人はめでたく結ばれました。終わり!」
「おい、花子!そんな軽いもんじゃねぇぞ!この話は海よりも深い…!」
「誰が好き好んでオジさんの恋バナ聞きたいんですか。ほら、閉店の時間ですから今日は帰りますよ。」
管を巻くジルにはいはいと頷きながら彼の腕を引き花子はルフィ達に振り返る。
「ごめんね、ちょっとジルさん家まで送って来るから待っててくれる?」
「お、おぉ…。」
まだ、話し終わってねぇぞ!と叫ぶジルの背中を押し店を出た花子の背中をルフィ達は無言で見つめていた。
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無事ジルを自宅に送り届けた花子は少し疲れた様子で戻ってきた。もうお開きにしますと言う彼女に代金を支払おうとするナミに笑顔で首を横に振る。
「いいよ、迷惑かけちゃったし。」
「でも…。」
いつもなら目を爛々と輝かせありがたく受け取るナミだが、流石にこの量を食い散らかしたとなると良心が痛む様だ。
「じゃあ、また来てよ!久々にジルさん楽しそうだったし。」
それにジルさんからお金取るなって言われてるのと言った花子の顔が余りにも優しげだったので、また来る事を約束し麦わらの一味は店を出ていった。
(面白ぇ店だったな!飯、旨かったし!)
(酒も良かった。)
(花子ちゃん、クソ可愛かったなぁ~♡)
(あいつ、仲間になんねぇかなぁ~?)