第12章 セカンドラブ
鶴の一声ならぬ、チョッパーの一声。花子はちょっと待っててください!と厨房に駆け込むと取り憑かれた様に料理に勤しんでいた。
「お待たせしました!」
「「「おぉ~!!」」」
「見た事ねぇ料理がいっぱいだなぁ!」
「こりゃあ、魚卵か?」
一風変わった花子の料理にルフィ達は物珍しそうに眺めている。赤く染まった魚卵の切り身を見つめるゾロに、花子がお猪口を差し出す。
「お米で作ったお酒なの、凄く相性良いのよ。」
「へぇ…。」
切り身を食べたゾロに花子は徳利を傾ける。お猪口に注がれた酒をくいっと飲み干すとスッキリとした味わいに思わず顔が綻んだ。
「こりゃ良いな。」
「美味しいよねぇ~。おにぎりの具にしても良いんだよ。」
もう1杯どうですか?と徳利を傾ける花子に無言でお猪口を差し出す。酌をする彼女の姿に綺麗な仕草だと何気無しに思っていると、ジルが花子に声を掛ける。
「花子!こっちにも酌をしろ~!」
「…はいはい、ちょっと待ってください。」
すっかり出来上がっているジルの様子に呆れた顔を見せながら酌をしつつ、サンジに料理の説明をする花子をゾロはじっと見つめた。
「…?」
ふとした時の花子の仕草にドキッと胸が脈打った。トレーニングをした後とはまた違う胸の高鳴り。その気持ちの訳をゾロが理解するのはまた別の話。
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「そう言や、ジルのおっさんは何でクソジジイと一緒にいなかったんだ??」
「あ?」
「俺がクソジジイと会った時には、もうあんたはいなかった。」
船を降りたのか?と何気無いサンジの質問に花子はゲッとした顔をし2人に近付いた。
「サンジ君!それは…「聞きてぇか!?」
お猪口をカンッとテーブルに叩き付け嬉々とした表情のジルに花子はあちゃ~と額を押さえた。
「俺が船を降りた理由…それは…惚れた女が出来たからだ!」
「惚れた女?」
「何々?楽しそう!」
思わぬ形で飛び出した恋バナに今度はナミとロビンが興味深そうな顔をする。
「ゼフとの航海の途中、俺達はある島に辿り着いた。」
げっそりとした顔で肩を落とす花子をよそにジルは酒を呷り、ゆっくりと語り出した。