第12章 セカンドラブ
チョッパーの言葉に店の中に静寂が走る。考えてみれば彼は悪魔の実で人の言葉は話せるが本質はトナカイ。恋愛対象は同種族なのは当たり前だ。
「てめぇ!はなちゃんのどこが不満だって言うんだ!?」
「そうだ!うちの花子ちゃんは何処に出しても恥ずかしくねぇぞ!?」
「えぇ~っ?!」
「いや、どっちだよ!?」
「肉、おかわり!」
「酒も追加だ。」
「あ、はい。」
先程までこんな奴と嘆いていたがいざ花子がフラれると、鬼の形相でチョッパーに詰め寄る客達にウソップがビシッとツッコミを入れる。興味の無いルフィとゾロだけはマイペースに注文をしていた。
「…分かりました。」
ゆらりと立ち上がり顔を俯かせる花子にやっと正気に戻ったかと胸を撫で下ろす。
「私…悪魔の実を食べます!」
「「「は…?」」」
「きっとトナカイになれる悪魔の実がある筈です!そうしたら少しでもチョッパーさんに近付けますよね!?」
「…こいつ、アホなのか?」
「いや~…。」
「ふふっ、恋は盲目ね。」
果たしてこれは盲目と言うレベルなのか。ぐっと拳を握る花子を楽しそうにロビンは見つめ、げんなりとした表情をするウソップにカナは苦笑いを浮かべた。
「待っててくださいね!チョッパーさん!私、必ず…っいたぁっ?!」
「えぇ~っ?!大丈夫かっ?!」
キリッとした顔でチョッパーに向き直る花子の頭をスパーンッと何者かが叩いた。
「お前、何してんだ?」
「っ~!何するんですか!酷いっ!」
「黙れっ!この馬鹿たれ!」
「誰だ?」
「このお店の店主でコックのジルさんです。」
額に青筋を浮かべるジルに花子は頭を押さえ不満そうに振り返った。突然現れたジルにサンジがカナに尋ね、同じコックと言う事で興味深そうに彼を見つめる。
「騒がしいと思えばこんな所で油売りやがって!仕事しろ、仕事!」
「仕事より恋です!私は運命の人を見付けたんです!」
「その運命の人にフラれてんじゃねぇか!」
「なんか…。」
「えぇ、どっかで見た事ある様な…。」
ぎゃいぎゃいと言い合いを始める2人の姿に見覚えがあるのかウソップとナミは首を傾げる。それが何処だったか悩んでいるとルフィがあっと2人を指差す。
「バラティエのおっさんとサンジだ!」