第12章 セカンドラブ
膝を付きチョッパーの小さな蹄を握り締める花子の顔は真剣だった。頬は赤く染まり心なしか目はハートになっている気がする。
「お、俺ぇ~?!」
「初めて会った時から、ずっと恋焦がれていました!」
突然の公開プロポーズにチョッパーは困惑しルフィ達を見つめる。興味の無さそうな者、面白そうだとニヤついている者、こいつ馬鹿なのかと呆れている者、悔しそうに唇を噛み締めている者と反応は様々。
「もし良かったら、私と…「「「花子ちゃん!?」」」
「あ~ぁ、良いところだったのにぃ。」
「ふふっ、耐え性の無い人達ね。」
花子が何か言おうとした時、今まで黙っていた店の客が一斉に彼女に駆け寄った。予想外の人物にカナとミアは面白そうにその様子を眺めている。
「え、何?怖っ!?」
「はなちゃん!分かる?!そいつ狸だよ!人間じゃ無いんだよ?!」
「俺はトナカイだっ!」
「よりによって何でそいつ?!まだ、そこの青髪変態野郎の方がマシだっ!?」
「誉めるなよぉ~!」
目を血走らせ自分に詰め寄る客達に花子は顔を引き攣らせ身体を仰け反らせる。変態と謂われたフランキーだけは何故か嬉しそうな顔をしていた。
「トナカイだろうと関係ないわっ!私はチョッパーさんと出会って運命を感じたの!」
「「「?!」」」
「あ、死んだ。」
「なははっ!面白ぇ店だな!」
花子の気持ちは固く迷いが無かった。真っ直ぐな彼女の瞳に客達はショックの余りその場に崩れ落ちた。
「チョッパーさん、好きです!」
「お、俺…。」
こんな真っ直ぐな好意を向けられたのは今だかつて彼には無かっただろう。どうしたら良いか分からずルフィ達に助けを求めるが助言する者は誰もいない。
「お、俺…トナカイだし、二足歩行だし!」
「手を繋いでデート出来ますね!」
「人の言葉喋るしっ!」
「お話が出来て嬉しいです!」
「トナカイなのに青鼻だしっ…!」
「果実の様に艶やかで食べてしまいたくなります!」
「熱烈ね。」
「ヨホホッ!いや~、若いっていいですねぇ~。」
自分のコンプレックスを伝えるも花子には通用しなかった。全てプラスに考える彼女に戸惑いながらも何故か救われた気持ちになる。しかし、ここで問題が1つあった。
「俺…人間には恋しねぇぞ?」