第12章 セカンドラブ
花子 side
(はぁ~…緊張した…。)
私はルフィ君達の注文をジルさんに伝えると裏でひと息ついた。ドキドキと脈打つ心臓は収まる事無く逆に速さを増している。
(…名前、教えて貰っちゃった♡)
影からルフィ君達を盗み見るとあの人は楽しそうに談笑をしていて、そのあどけない笑顔にまた胸がキュンと切なくなる。
(素敵…♡)
もっと仲良くなりたいな…。彼は普段どんな事をしてるんだろう…。船ではどんな生活をしてるんだろう…。
「花子?」
「ひぎゃあっ?!」
後ろから声を掛けられ驚いて振り返ればジルさんが呆れた顔をしていた。
「何してんだ?サボってる暇があったらこれ運べ!」
「…はぁい。」
ジルさんから渡されたのはルフィ君達が注文した料理。それを見つめ私は意を決してジルさんに尋ねた。
「…ねぇ、ジルさん。私、可愛い?」
「はぁ?お前、どうしたんだ?拾い食いでもしたか?」
「するわけ無いですよね?!ねぇ可愛い?嘘でも良いから可愛いって言ってくださいよ!」
「…嘘でも良いのかよ。」
少しでも自信が欲しくて真剣な顔でジルさんを見つめると、1つ溜め息を漏らすとジルさんはそっと私の頭に手を置いた。
「お前は可愛いよ。優しくて素直で…可愛い俺の自慢の娘だ。」
「ジルさん…!」
優しく微笑むジルさんの言葉には嘘偽りは無く、余りの嬉しさにきゅっと胸が締め付けられた。厨房に戻るその背中をほぅっと見つめていると何かを思い出した様に彼は振り返った。
「股が緩いところは玉に瑕だがなぁ~。」
「ジルさぁんっ?!」
全部台無し!私の感動返してっ!ケラケラと笑うジルさんの背中を睨み付け、私はふうっと深呼吸をして彼の元に向かった。
ーーーーーー
ルフィ君のテーブルに料理を並べた私は意を決して彼に近付いた。突然の私の行動に彼のみならず周りの皆も不思議そうに見つめている。
「どうした?花子?」
「何かご用?」
「あの…。」
自分の目の前に立つ私に不思議そうな顔を向ける。そんな顔が何だか可愛くてふと顔が綻ぶ。
「初めて会った時から…ずっと気になってました。」
きゅっと彼の手を握り私は自分の胸の内を打ち明けた。
「好きです!…チョッパーさん!」
その瞬間、店内からガシャーンッと崩れ落ちる音が聞こえた。