第12章 セカンドラブ
ルフィ達の相手をする花子をカナはじっと見つめていた。確かに彼等と会った時の花子はいつもと少し違ったからだ。
ー私も…嬉しい。ー
あの時の花子の顔はこっちがドキッとする程柔らかく、まさに恋する乙女と言った表情だった。
「ねぇ、カナちゃんは誰が花子ちゃんの想い人だと思う?」
「えぇ~?あの麦わら君じゃないですか?」
会えて嬉しいって言ってたしと、言うとミアはくすくすと笑いながら首を振った。
「きっとその言葉は別の人に向けたものよ。だって彼女の視線が別の方に向いてたもの。」
「成る程…。」
「私の予想だと…あの青髪の人じゃないかしら?」
「え"っ?!」
彼等の中で青髪と言えばアロハシャツに海パンを履いている男しかいない。予想外の人物にカナは顔を引き攣らせた。
「ないないない!それは有り得ないですよ?!」
「あら、シャンクスさん達にも靡かなかったのよ?ひょっとしたら彼みたいなのがタイプなのかも。」
「…。」
確かにどんなイケメンにも靡かなかった花子だ。可能性は0ではない。そう思っていると背後から淀んだ気配を感じ振り返れば、ゾンビ化した元客達の姿。
「はなちゃん~…そりゃねぇぜ~…。」
「よりによって…あんな変態野郎…!」
「怖っ!?」
「まぁ好みなんて人それぞれよ。」
恨めしそうに涙を流す客達に成仏してくれと手を合わせた後、また花子の方に視線を戻す。丁度お互い自己紹介をしているのか、お目当ての青髪の男の名前を聞いた時、心なしか花子の頬が色付いたのが見えた。
(ひょっとしたら、ひょっとするのかな?)
花子のファンの人には悪いがカナは本当に彼の事が好きなら実って欲しいと思う。いつも優しく笑顔の彼女には幸せになって欲しいから。
(…後、皆の反応が面白そう!)
どうか花子の好きな人が彼であってくれと、カナは心の中で願った。
(面白ぇ店だな!花子、肉おかわりっ!)
(おらぁコーラを頼む!)
(俺はアイスをくれ!)
(はい!)ポッ
(((っ!嘘だぁあぁっ?!)))