第2章 目が覚めると
ポーラータング号では宴が開かれていた。と言ってもいつもの事なので余り代わり映えするわけでも無く酒や料理を楽しんでいた。
「花子~!飲んでるかぁ~?」
「飲んでるよぉ!てか、クリオネもう酔ってるの?」
花子の周りではクルー達が集まり酒を酌み交わしている。そんな輪の中から少し離れた所でローは静かにその様子を眺めていた。
「花子、楽しそうですね。」
「あぁ。」
隣に腰を下ろしたペンギンはクルー達と笑い合う花子を優しげな目で見つめていた。
「収穫はどうだ?」
「全然…。彼女、慣れているのか上手い具合にすり抜けていくんですよ。」
密かに行われている賭けをローは知っている。多分、イッカクも。だからこそ、花子に近付こうとしているクルー達を彼女が牽制しているのをよく見掛けていた。
「まぁ、最近は「おい、ペンギン。」
イッカクの妨害もあるが何だかんだで飄々としている花子に彼等も業を煮やしている様子。何かを言おうとしているペンギンの声をローが遮る。
「いくら賭けてる?」
「え?」
「お前等、自分にいくら賭けてる。」
ニヤリと悪い笑みを浮かべるローにペンギンは嫌な予感がしたのか顔を顰めた。
「…1人、1万ベリーですけど。」
「そうか。」
「キャプテン、まさか…。」
ぐっと酒を一気に飲み干し立ち上がるローは勝ち誇った様にペンギンを見下ろす。
「10万だ。」
「え…?」
「お前等の賭け、俺も参加する。俺は自分に10万賭ける。」
「?!」
ローの言葉にペンギンは目を見開いた後、重い溜め息を吐き思った。これじゃあ、自分達に勝ち目は無いと。
「…言っときますけど、無理矢理はノーカンですからね。」
「同意なら文句ねぇだろ?」
ふんっと鼻を鳴らし花子達の元に足を向けたローにペンギンは、またキャプテンの1人勝ちかと懐から消えていく金を思い深い溜め息を漏らした。
(随分と楽しそうだな。)
(あはは~!ろーくん、飲んでる~?)
(…。)こいつ、危機感ねぇのか?
(花子、飲み過ぎだよ!)水、飲んで!