第12章 セカンドラブ
花子 side
「コハク…ごめんね、心配かけて。」
「「「…。」」」
私の姿を確認したコハクは大人しくなり甘える様に身体を擦り寄せる。まるで自分も悪かったと言う様な仕草に頬を寄せた。
「皆もごめんなさい。この子私が拐われたと思って怒っちゃったの…。」
コハクも謝ってと言えば不満そうに小さく鳴いた。もう…この子は…。
「何だって?」
「"勘違いしたのは悪かったが、原因はそこの赤い男だ。"って言ってる。」
「やっぱりお前かぁっ!?」
「えぇ~?!俺ぇ~?!」
オレンジの髪のお姉さんがルフィ君を殴り飛ばす様子を眺めていると突然、ドクリと心臓が高鳴った。
(何っ?このドキドキは…!)
ロー君といた時みたいな甘く、切ない…。もしかして、私…。
(恋をしちゃったの?)
取り敢えず名前を聞こうと口を開こうとしたら、コハクが私を背に乗せ泳ぎ出す。
「えっ?!ちょっ、コハク!待って!?」
「おい!どうしたんだぁ!?」
名前も聞くことも出来ずこの胸の高鳴りだけが残ってしまった。
ーーーーーー
「コハク~…どうしたのぉ~?」
いつもの入り江に戻るとコハクはまたふいっと身体を逸らせる。あれ?デジャブ?
(でも、これは拗ねているだけかな?)
その証拠に私が抱き着いても逃げようとはせず、少し赤くなってしまっている額に愛しさが募る。
「コハク、ありがとうね。私の事助けようとしてくれたんだよね?」
チュッと鼻先にキスをすれば呆れた様な顔をし私の胸に擦り寄ってきた。本当に表情豊かな鯱だなぁ。
「おでこ、手当てしよ?薬持って来るからいい子で待っててね。」
身体を離そうとしたら嫌だと言わんばかりに私の短パンの裾を噛んだ。くぅ~!可愛い奴めっ!
「お願い。私、コハクには痛い思いしてほしくないの。」
すぐ戻って来るからと伝えると、仕方無さそうに口を離した。ありがとうともう1度キスをすると満更でも無さそうな顔。岩場に上る私を見送る様に胸鰭で海面を叩くコハクに自然と走る足が速まる。
(そう言えば…ルフィ君達この島に来るのかな?)
この辺りだと停泊出来るのはこの島ぐらい。あそこにいたと言う事はこの島に辿り着くのは確実な筈。
(また…会えるかな?)
ドキドキとする胸を押さえ私は家路を急いだ。