第12章 セカンドラブ
花子 side
拝啓、父上様、母上様、お姉ちゃん。
後、その旦那とちびっ子2名。
お元気ですか?私は…。
「好きなんて言われても嬉しくねぇぞ!このやろう~♪」
恋の予感がしますっ!
ーーーーーー
アギトさんのお手伝いを終え私はコハクと遊んでいるけど、ここで問題が起きました。
「コハク~、どうしたのぉ~?」
コハクが絶賛反抗期中です。いつもは私を背中に乗せて泳いだり、大きな身体を擦り寄せて甘えてくるのに身体に触ろうとすると、すいっと躱されてしまう。
「もう、いいよ…私先に戻るね。」
コハクに背を向け泳ぎ出すと後ろから付いてくる気配。ふっふっふっ!引っ掛かったわねっ!
「捕まえっ…ぶっ?!」
後ろを振り返り両手を広げコハクに抱き着こうとしたら、またすいっと躱されて見事顔面から海面へダイブ!
「っ~!コハクっ!」
痛む顔を押さえコハクを睨み付けると、ケケケッと笑う様な鳴き声を上げ海面から出した身体を揺らす。
「もう許さないんだからっ!」
私だって無駄に貴方と泳ぎ回ってた訳じゃないんだからね!
「絶対捕まえてやるー!」
華麗な私の泳ぎに平伏しなさいっ!今、私とコハクの鬼ごっこが始まる!
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【10分後】
「はぁっ…はぁっ…!」
全力でコハクを追い掛けていたけど体力の限界で私は今、海に仰向けでぷかぁんっと浮いた状態。
「くっ…無念っ…!」
と言うか、鯱のコハクに泳ぎで敵う筈無いじゃない!そんな当たり前の事を思いながら上を見上げると澄み渡る青い空。
「綺麗…。」
耳は海に付いているから音は聞こえず、まるでこの世界に私しかいない様に思えて急に寂しくなった。
「コハク…。」
私の事、嫌いになっちゃったのかな?しゅんと切なくなり起き上がると下からぐっと何かにお尻を押された。
「コハク!」
鼻先で私のお尻を持ち上げいつもみたいに遊ぶ仕草をするコハクに嬉しくて抱き着こうとした時、腰に何かが巻き付きぐんっと身体が宙に浮いた。
「えっ…?」
何かに引っ張られる様な感覚に私は小さくなるコハクに手を伸ばした。
(ん~っ、よっと!はぁ~…お前危なかったな!)
(へ?は?)
(海王類に食われかけてたんだぞ?良かったなぁ、俺がいて!)
(え?)誰っ?