第11章 パンクだね
花子 side
「なぁ…お前、俺の船に乗れよ。」
「んえ?」
何度目かの行為が終わりもう無理だと泣いて止めれば渋々キッドは止めてくれた。息を整え彼の腕に頭を乗っけると私の髪を弄りながらキッドが口を開く。
「え、絶対ヤなんだけど。」
「何でだよっ!?」
「だってキッド、いらなくなったらポイって捨てそうだもん。」
そう言えばうぐっと言葉を詰まらせ、これは図星だなと思いジトリと見つめると分かり易く視線を逸らす。
「逆に聞くけど私を船に置く理由って何?」
「…ロールキャベツ。」
「え?」
「この島を出たらお前のロールキャベツ、食えなくなるだろう。」
余程恥ずかしいのか私の胸に顔を埋め隠すと様な仕草をするけど、耳まで真っ赤なのでバレバレ。
「…キラーさんにレシピ渡しとこうか?」
「そうじゃねぇっ!」
あーっとかうーっとか、言葉に詰まっているキッドが可愛くて、今は下ろされている真っ赤な髪を撫でた。
「大丈夫。キッドがこの島を出るまでいくらでも作って上げるから。」
「…じゃあ明日の朝作れ。」
「急だね。」
胸に擦り寄るキッドの頭を撫で続けていると、いつの間には穏やかな寝息が聞こえてくる。
「すぅ…。」
「…ありがとう、キッド。」
私を船に誘ってくれて。でも、ごめんね。私は船には乗らない…。
「もう…あんな思いはしたくないの…。」
ぎゅっとキッドの頭を抱き込むと突然睡魔に襲われ私も眠りについた。
「…チッ。」
だから、キッドに聞かれていたなんて気付きもしなかった…。
ーーーーーー
キッドの船を降り1度家に帰ると仕事の準備をしてお店に向かった。店内に入るとジルさんが何だか気まずそうな顔をして私を見つめる。
「どうしたんですか?」
「…さっきキッドが来てな。これを預かった。」
差し出された1枚の紙。どうせ今日もお店に来るんだからその時渡せばいいのに、と思いながら紙を開いた。
【お前に何があったか知らねぇが、俺が【ワンピース】を手に入れたらお前を掻っ攫いにいく。首洗って待ってろよ。】
え?どういう事?訳が分からず首を傾げていると、ジルさんが言いにくそうに重い口を開いた。
「あいつ等はもう島を出た。」
「?!」
その言葉に私は弾かれた様に外に駆け出した。