第11章 パンクだね
「おい!花子を返せっ!」
「おっさん、取り敢えず落ち着けって!」
「黙れ、若造共が!あいつに何かあったら只じゃおかねぇぞっ!?」
「キラー…!マジで早く来てっ!」
ヒートとワイヤーに羽交い締めにされるも、暴れるジルに2人は船内に消えたキラーの名を心の中で叫ぶ。
「すまん、遅れた。」
「「キラー!」」
「花子っ!」
船内から出てきたキラーにヒートとワイヤーはやっとかと安堵の表情を浮かべ、彼に抱えられている花子を見付けたジルは急いで駆け寄り、キラーから花子を奪い取った。
「花子、大丈夫か!?酷ぇ事されてねぇか?!」
「ごめんなさい…ジルさん。」
鬼の形相のジルにはい、されましたとも言えず、コハクと遊んでいたところ足がつり溺れている自分を彼等が助けてくれたと花子は説明した。
「…本当か?口止めされてんじゃねぇか?」
「…俺等のイメージって。」
「言うな…全てはキッドが蒔いた種だ。」
「本当に何も無いんです!…心配かけてごめんなさい。」
しゅんと落ち込む花子にこれ以上は何も言うまいと、彼女の身体をキツく抱き締めたジルはキラー達に頭を下げた。
「迷惑かけたな、あんた達も。こいつを助けてくれてありがとう!」
「いや、俺達もすぐに帰さなくて悪かった。」
「こいつは世間知らずで馬鹿で考えなしなところはあるが…。」
「…え、悪口?」
心配をかけ、更には嘘を付いてしまった事に心の中で謝罪をしていると、ジルの言葉に花子はすんとした顔をする。
「俺にとっちゃあ、息子達と同じ…大事な娘なんだ。」
「っ!」
だから本当にありがとうっとまた頭を下げるジルに花子は目を見開きポロポロと涙を溢す。
「っ…ジルさん、ごめんなさいぃ~!」
「おわっ?!どうした、花子?!足が痛むのか!?」
突然泣きじゃくる花子にジルは驚き赤子をあやす様に背中を叩く。
(心配かけて、ごめんなさいっ…嘘付いて、ごめんなさいっ…。)
他人である自分をこんなにも愛してくれた事が花子は堪らなく嬉しかった。
(…何泣いてんだ?)
(頭っ!…頬どうしたんだ?)
(ファッ!…可愛い子猫に引っ掻かれたんだよな?)くくっ!
(…チッ!)