第11章 パンクだね
キッド達とは色々あったが無事開店する事が出来た。あっと言う間に店には人が集まりいつもの賑わいを見せている。
「花子ちゃん!こっち酒、追加!」
「はぁい!」
「はなちゃん、今日はあれあるのかい?」
今日も今日とて忙しなく動き回る花子に1人の客が声を掛けた。
「ありますよ~!今日はコンソメとトマトと和風出汁です!」
「どれがいいかな?」
「今飲んでるお酒だったらトマトが良いんじゃないですか?」
「じゃあそれで!」
注文を受け笑顔で答えると花子はキッチンへと姿を消して行った。そんな花子を横目にキッド達も酒と食事を楽しんでいると、艶やかな衣装に身を包んだ女達が彼等に声を掛ける。
「お兄さん達、私達も同席しても?」
「あ?」
綺麗に整えられた髪、豊満な胸をこれでもかと曝け出す様な服。男を誘う様な香水の香りにキッド達はその筋の女かと隣に座らせた。
「あっ、ミアさんこんばんは。」
「こんばんは、花子ちゃん。今日も可愛いわね。」
「ミアさんはいつもお綺麗ですね!」
ミアと呼ばれた女は鈴がなる様に上品に笑う。そんな2人のやり取りをよそにキッドは彼女の手にある盆に目を向けた。
「おい、女。その手にあるのは何だ?」
「ロールキャベツですよ。…知らないんですか?」
「馬鹿にしてんのか!そんなの無かっただろう!」
どうやらキッドはメニューには無いその料理が気になる様だ。不定期で出てくる物だと伝えると自分にも寄越せと注文する。
「コンソメとトマトと和風出汁、どれにしますか?」
「…全部。」
「本当によく食べますね。」
少し待てと伝え他の席に料理を運ぶ花子を見つめミアはまたくすくすと笑い出した。
「船長さん、運が良いですね。あれ滅多に花子ちゃん作らないんですよ。」
「…あの女が作ってんのか?」
「えぇ、凄く美味しいんですけど…彼女気分屋だから自分が作りたい時にしか作らないんです。」
味は保証しますとまるでキッドの心配を汲み取った様に言うミアに、だったら大丈夫かと久々に食べる好物を彼はガラにも無く心待ちにしていた。
(はい、お待たせしました~。)
(…ちゃんとしてんな。)
(え?喧嘩売ってます?)買いませんけど
(ふふふっ、今日も美味しそうね。)