第11章 パンクだね
キッド side
ー海賊王なんかにはなれないわよ!ー
海賊王。それはゴールド・ロジャーが何処かに残したと言う秘宝【ワンピース】を手に入れた奴だけが与えられる称号だ。俺はそれを見付ける為に海に出た。だが、そんなの夢物語だと周りの奴等は馬鹿にする。
(そんな奴等を俺は片っ端から潰してきた。)
「こんの馬鹿野郎っ!」
「痛っ?!ジルひゃん、痛いっ!」
店のオヤジに頬を引っ張られている女は何処にでもいそうな普通の女。血生臭い戦いなんぞ知らさそうな馬鹿面した女。だが、こいつはハッキリと言いやがった。
ー私はあると思ってるわ。ー
「…おい。取り敢えず、酒を持ってこい。飯は待ってやるよ。」
「…だから、何でそんな「もう、お前は黙ってろ!酒の準備をしろ!」
ぶつくさと文句を垂れる女の背中を押し男は2人で何処かに消えていった。
「よく耐えたな、キッド。」
「俺は絶対暴れ出すと思ったのによ!」
「…この島で騒ぎを起こすなと言ったのはてめぇだろ。」
只の気紛れだ!【ワンピース】があると言ったから嬉しかったとかそんなんじゃねぇ!
「ふっ、気に入ったのか?」
「あ"ぁ"っ?!誰があんなチンチクリン!」
誰があんな色気も糞も無い女気に入るか!俺がそう言うとワイヤーとヒートがニヤニヤとムカつく顔をしてっから殴ってやった。
ーーーーーー
「たくっ、お前は少しは考えてものを言え!」
「ごめんなさい。」
急ぎ料理の準備に取り掛かるジルはグラスに酒を注ぐ花子に愚痴を溢す。
「頼むから俺の寿命をこれ以上縮めさせないでくれ…。」
「でも彼等、この島には手出しできないでしょ?」
この島は四皇シャンクスの縄張。余程、馬鹿な海賊でない限り暴れるような事はしない筈。話が分からない者だったらそれまでだが、これは花子にとっても賭けだった。
「…因みに、あいつ等が馬鹿な海賊だったらどうする。」
「シャンクスさんに泣き付く。」
虐められた子供の様な言い分にジルは呆れながらもキッパリと言い切った花子に笑い声を上げた。
「本当に…大した女だ。」
「使えるものは使わないと!」
四皇をも顎で使おうとする花子に、本当に怒らせてはいけないのはシャンクスではなく彼女ではないかと、ジルは秘かに思った。