第11章 パンクだね
コハクの背に乗り花子はのんびりと海を眺めていた。アギトの一件から沖合いで遊ぶのが楽しくなったのか、コハクは彼女に会うと制止の声も聞かずに飛び出して行く始末。
「コハク~、そろそろ帰ろ~。」
そう声を掛けるもまだ遊び足りないと戻る様子の無いコハクに花子も今日は店も休みだし好きにさせるかと諦めた。
(ん?あれは。)
少し遠くに見えるのはキッドの船。海賊船なので一応隠れる様に港からは離れた所に停泊しているが、その派手な船体は隠す気があるのかと思う程堂々としている。
「コハク、ちょっとあっちに行ってみよう!」
ちょっとした好奇心。近くで見てみたいと思った花子はコハクに声を掛けヴィクトリアパンク号に近付いて行った。
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目の前まで行くとその巨大さに圧倒される。恐竜の頭蓋骨の様な船首、船体を包み込む様にデザインされた骨の装飾。しっかり修繕はされているが所々に見える傷に、彼等の航海がどれ程過酷なものだったかを物語っている。
「何見てんだ。」
「ん?」
上から声が聞こえ見上げると怪訝そうな顔をしながらキッドが船から顔を覗かせていた。
「たまたまあったから。」
「…見せもんじゃねぇぞ。」
鬱陶しそうに顔を歪めるキッドに確かに自分の物をジロジロと見られてはいい気がしないと謝り、退散しようとする花子をキッドが止める。
「…船に興味あんのか?」
「あると言うか…。」
本当に只の興味本意なだけだったが気になるのは確かだ。無言で頷けば意外にもキッドは中も見せてやると花子を船内に招き入れた。
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「ここが俺の部屋だ。」
「へぇ~。」
最後に案内されたのはキッドの部屋。どこのロックミュージシャンの部屋だよと思うくらいゴテゴテとしていたが、意外にもその部屋は綺麗に整理されていた。
「意外と綺麗にしてるのね。」
「キラーの奴が勝手にやってるだけだ。」
だからこんなに綺麗なのかと納得していると、突然身体が浮き花子は柔らかなベットに放り出された。
「ちょっ!」
「男の部屋にそんな格好で来たんだ。こう言う事されても文句は言えねぇよなぁ?」
驚き目を見開く花子の水着の紐に指を掛けニヤリと笑うキッド。慌てて口を開こうとした彼女の唇は彼によって塞がれた。