第11章 パンクだね
花子 side
「ユー…"キャプテン"キッド?」
「…ユースタスな。」
料理の仕込みをしているとジルさんが今朝上陸した海賊の話をしてくれた。
「誰です?ユータスタス・"キャプテン"キッドさんって。」
「…ユースタスな。」
呆れた顔をしながらジルさんはそのユースタスタ・"キャプテン"キッドについて教えてくれた。
「ユースタス・"キャプテン"キッド。キッド海賊団の船長であり、悪魔の実の能力者だ。その凶暴な性格から賞金額は3億ベリーを越える。」
敵に対しては一切容赦せず、相手が戦意を失っても徹底的に叩き潰すらしい。
「…え?めっちゃ危ない人じゃないですか。」
「花子…新聞ぐらい読もうな?」
しかも周囲を顧みずに暴れる為、民間人にも多大な被害を与えており、その凶悪性から賞金額も高いんだって。え、やばっ!
「取り敢えず、頭おかしい危ない人って事ですね。」
「…。」
今朝って言えばあのパンクな海賊船がそうなのかな?確かにヤバそうな感じだったけど。諦めた様に肩を落とすジルさんを見つめていると、ドアベルが鳴ったので私は慌てて駆け寄った。
「すみません、まだ準備中で…。」
目の前には、真っ赤な髪を逆立たせこれまた真っ赤なファーが付いたコートを素肌に羽織っている人相が悪い男の人。長い金髪と顔全体を覆ったフルフェイスの仮面の男の人と、水色のロングドレッドヘアーに縫い付けた様な口元をしている男の人。角付きのマントに透け感のある服とニーハイ丈の網タイツを履いた男の人が立っていた。
(え…何処のパンクバンド?)
「ほら見ろ、まだ店は開いていないみたいだ。」
「あ"ぁ?そんなの知るか。俺は腹が減ってんだ!」
フルフェイスのお兄さんは私にすまないと頭を下げるが、赤いお兄さんはズカズカと店内に入り勝手に席に座った。
「取り敢えず、酒を持ってこい!」
「ですから、まだ準備中なんですよ…。」
「花子?どうした?」
横柄とはこの事か。人の話を全く聞いていない赤いお兄さんにどうするか悩んでいると、ジルさんが様子を見に来た。
「ユースタス・"キャプテン"キッド?!」
ぎょっと目を見開いたジルさんに私も驚き男の人達を見つめた。え?じゃあこの人達が…。
「めっちゃ危なくて頭のおかしい人?!」