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貞操観念低めな子が色んな感情をぶつけられる

第11章 パンクだね


海を悠然と進むヴィクトリアパンク号。その船首にはあの悪名高いユースタス・"キャプテン"キッド、そして"殺戮武人"キラーが立っていた。

「あれが赤髪の縄張の島か!」

「あぁ。…キッド、頼むから大人しくしていろよ。」

ニヤリと笑うキッドにキラーは念を押すように声を掛ける。島が見えてから彼はキッドに同じ事を何度も繰り返していた。

「うるせぇな!分かってる。流石に今赤髪と殺り合うのは避けてぇからな。」

いくら血の気が多く好戦的なキッドであってもシャンクスの怒りを買うのは避けたいのだろう。口酸っぱく言い聞かせるキラーに鬱陶しそうな顔をし声を荒げると、ヒートが慌てた様子で2人に駆け寄ってきた。

「頭ー!後方から何かでかいモンが近付いて来てる!」

「あ"ぁ?海軍か?」

「いや海王類か、兎に角凄ぇ速さだ!」

正体不明の何かが近付いて来ていると知り船からは緊張が走る。その何かを確認する為、船から身を乗り出すとヒートの言う様に巨大な何かが物凄いスピードで横切って行った。

「何だぁ?!」

「…鮫か?」

海面から見える白い背鰭を見つめているとその生き物が向かっている方に目を向けた。

「人かっ?!」

「馬鹿な奴だ。ありゃ、終わりだな。」

何が起こるか分からないグランドライン。そんな場所で身一つで飛び込む事など自殺行為である。海に浮かぶ人影に運のない奴だと気にする事無く眺めているキッド達の目の前で信じられない事が起きた。

「ありゃ鯱か?」

「あぁ、白い鯱だ。珍しいな。」

10mはあるであろう巨大な白い鯱は襲うどころかその巨体を人影に擦り寄せ甘えている様に見える。声からしてその人物は女なのだろう。聞こえてくる楽しげな声にキッド達はポカンとした顔で見つめていた。

「…遊んでんのか?」

「兎に角、襲われなくて良かったな。」

「けっ!お優しいこった。」

安堵するキラーにキッドは興醒めした様子で船内に戻るとクルー達に上陸の準備をする様に伝えた。

ーコハク。ー

「…。」

微かに聞こえた優しい声。何故かキッドはその声が頭から離れなかった。


(よし!上陸だ!)

(…分かっているだろうがくれぐれも。)

(だあぁっ!しつけぇぞっ!)分かってる!

(…。)不安だ…

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