第10章 真っ直ぐな瞳
「花子~…悪かったって~…。」
「…。」ふいっ
賑やかな町並みを歩く花子にエースは眉を下げ彼女に謝罪する。先程の事を根に持っているのかつんっと顔を逸らす花子にエースは困り果てていた。
「どうせ私は色気無いですよ~。」
「だから、あれは言葉の綾で…。」
色気が無い、色目を使っても無駄だと散々皆から弄られ花子は完全に臍を曲げてしまった。拗ねた顔をする彼女に苦笑いもするも少し子供っぽい仕草をする花子に可愛いなとエースは1人笑みを浮かべる。
「…何笑ってんの?」
「いや、可愛いなと思って。」
「…またそうやってからかって!」
優しく頭を撫でるエースにぐぬぬっと唸るも柔らかい微笑みを浮かべる彼に諦めたのか花子ははぁ…と溜め息を漏らす。
「もういいよ。」
「…怒ってないか?」
「うん、私やお店の事庇ってくれたし。」
やっと笑顔を見せた花子にエースは嬉しそうに破顔する。この笑顔は狡いなぁと花子は困った様に笑う。
ーーーーーー
花子の自宅に着き鍵を開けると花子はエースに振り返った。
「いつもありがとうね。」
「…あぁ。」
笑顔の花子に対し何処が寂しげなエースに首を傾げると、彼は花子の手を握り何か言いたそうにしている。
「どうしたの?」
「あ~…いや…その~…。」
わたわたと目線を右往左往させ口籠るエース。しかし、離す気は無いのかしっかりと握られた手を見つめ花子はぎゅっと彼の手を握り返した。
「…寄ってく?」
「!」
緊張した面持ちの彼にそう言えば、ぱぁっと嬉しそうに顔を輝かせるエースが可笑しかったのか、くすくすと微笑むと花子は彼の手を引き自宅に招き入れた。
(お茶でいい?)
(あぁっ!)
(?)本当にどうしたの?
(…。)ドキドキ