第10章 真っ直ぐな瞳
エース side
花子にキスをしようと思って顔を近付けたらこいつも受け入れてくれたのか、そっと目を閉じた。唇が触れるまで後少しと言うところで、ふと甘い香りが漂ってきた。
(ほっせぇ首…。)
俺が力を入れれば簡単に折れちまいそうな程細い首。少し焼けた健康的な肌に妙に色気を感じる。
(美味そう…。)
甘い香りに誘われる様に顔を近付け気付けば花子の首筋に噛み付いていた。
「いったぁっ?!なにっ?!」
「…悪ぃ。」
思ったより強く噛んじまったのか花子の首筋にはくっきりと俺の歯形が残っている。
「もう…何なのよ…。」
「悪ぃ、何か凄ぇ美味そうに見えて。」
「…エース君、食人の趣味でもあるの?」
「ねぇよっ!」
変な疑いかけんなよ!ヒィッて身体を強張らす花子に変な誤解を持たれそうだったから訂正はしといたけど、身体を抱き締める様に腕をクロスする花子は見れば見る程美味そうで…。
「なぁ…。」
ゆっくりと身体を近付ければ花子は俺の胸を押し離れようとするが全くもって無駄な抵抗だ。
「もっかい、いいか?」
「?!」
胸を押す手を掴み尋ねると怯える様に目を潤ませ食われる前の小動物みたいに身体を震わせる花子に、ゴクリと喉が鳴った。
「今度は痛くしねぇから…。」
「あ…っ!」
自分でも驚くぐらい甘い声に笑っちまいそうになるが抵抗しなくなった花子の首筋に舌を這わせる。
「んっ…やぁっ…」
鼻から抜ける様な甘い声に頭がくらくらする。噛んだ跡に少し歯を立てればピクリと身体を震わせる花子にふっと笑みが溢れた。
「こっちも美味そう…。」
「んンッ!」
水着以外覆うものが無い花子の胸はぷるりと柔らかそうで、肩を掴み引き寄せ胸の谷間に顔を埋める。
「んっ、アッ…やっンッ…」
吸って、舐めて時々唇で噛みその柔らかさを堪能しているとふと水着に目がいった。これを剥ぎ取ったらもっと美味そうなのがあるんだろうなぁ。そう思い水着に手を掛けようとした時、花子が軽く俺の肩に手を置く。
「やぁっ…たべないでぇ…。」
「っ!」
頬を赤らめ潤んだ目で俺を見つめる花子は凄く色っぽくて、ゾクリと言い様の無い何かが背筋を走った。