第10章 真っ直ぐな瞳
花子 side
「白ひげ海賊団ってマルコがいる所の?」
「何だ、花子はマルコを知ってんのか!」
「知ってると言うか…お世話になったと言うか…。」
一夜を共にしましたとは絶対に言えない!呑気にお茶を啜るエース君は物珍しそうな顔で私を見つめる。
「そう言やマルコがオヤジの酒を調達した島で面白い女を見つけたって言ってたが…花子の事か?」
「さぁ…それは分からないけど…。」
ふ~んと興味無さそうに相槌を打つエース君。すると突然、ぐぅうぅぅっと大きなお腹の鳴る音が聞こえた。
「…。」
「くっ…あははっ!お腹空いてるの?」
気持ちの良いぐらい盛大に鳴った音に思わず吹き出してしまうと、エース君は恥ずかしそうに顔を赤らめ無言で頷いた。
「待ってて。簡単だけど何か作るから。」
「…悪い。」
男の子って何が良いのかな?冷蔵庫を開けると昨日の残りと、ご飯、卵、鶏肉、野菜…。
(チャーハンで良いか。)
ーーーーーー
「旨ぇっ!」
「それは良かった。」
料理が出来てテーブルに並べるとエース君は貪る様に食べ始めた。少し多く作り過ぎたかなと思ったけど、彼の食欲を見るとその心配は無さそうね。
「マジで旨ぇよ!久々にこんな旨い…ぐぅ~…。」
「えっ?!」
さっきまで笑顔で食事をしていたエース君は突然電池が切れたみたいにチャーハンに顔を突っ込んだ。
「ちょっと!大丈夫?!」
やっぱりどこか具合が悪かったのかしら?!エース君の肩を揺らし声を掛けると彼はムクリと顔を起こした。
「…悪ぃ、寝てた。」
「寝てたのっ?!」
ご飯食べながら寝る人初めて見たよ!いつもの事なのか顔中に米粒をくっ付けたままエース君はまたご飯を食べ始めた。
「ぷっ!あはははっ!」
「ん?どうした?」
笑い声を上げる私を怪訝そうな顔で見つめるエース君だけど可笑しくて堪らない。
「ふふっ!エース君、顔にご飯粒沢山くっ付いてるよ。」
ハンカチで顔を拭いてあげるとエース君は何とも言えない顔をしている。
「ん?どうしたの?」
「…いや。」
ふいと顔を反らしご飯を食べ始める彼の耳は微かに赤らんでいて、照れてるんだと思うとそれがまた可愛くてまた笑い声を上げる。
(可愛い~!)
(…花子、俺は男なんだが。)
(うん!でも可愛い!)