第9章 全てを委ねて
花子 side
お店も終わりに近付き残っているのはシャンクスさんとベックマンさん。ヤソップさん、ルウさん、ホンゴウさんは早々に2人を残して立ち去った。
ーんじゃ、花子!2人をよろしくなぁ~!ー
ーえっ?!ちょっと!ー
(2人も連れて帰りなさいよ!)
面倒事を押し付けられイラッときていた私は今だお酒を飲んでいる2人を睨み付けた。
「どうした、花子。そんなに俺を見つめて。」
「馬鹿、ベック!花子は俺に熱~い視線を送ってるんだよ!」
「…アホな事、ほざきやがらないでください。」
おっと口が悪くなった。鬱陶しく駄々絡みしてくる2人にはぁと溜め息が溢れる。
「…2人共、普通に格好いいのに。」
「「…。」」
何で私なんかを構うのだろう。2人に掛かれば綺麗なお姉様なんて引く手数多だろうに。そんな事を思いながら片付けをしていると背後からぬっと大きな影が現れた。
「何ですか?」
「花子!今、俺の事格好いいって言ったか?」
「は?」
「俺の事、格好いいって言ったよなぁ?」
確かに言ったけど何?急に。よく分からず頷けばシャンクスさんはよっしゃあっ!と雄叫びを上げ、ベックマンさんも何だか嬉しそうにニヤつく。本当に何?
「花子~!もう上がっていいぞ~!」
「はぁい!」
ジルさんにお許しが出たのでありがたく上がらせて貰おうとエプロンを脱いだ時、左右から逞しい腕が絡み付いてくる。
「ジルさん!花子借りていいか?」
「え?」
「おぉ~、程々になぁ~!」
「ちょっと?!」
「そんじゃ、行くか。」
左にシャンクスさん、右にベックマンさんに抱えられまさに囚われの宇宙人状態。助けを求める様にジルさんの方を振り向けば、にっこりとした笑顔で親指を突き出した。
「明日…休んでもいいぞ!」
「…何言ってんの?!この糞じじいっ!?」
「口悪いぞ~!」
ケラケラと笑うジルさんに見送られ私は2人に引き摺られる様にお店を出た。
(で?何処に行くんだ、お頭。)
(ん~…考えんの面倒臭せぇし花子の家に行くか!)
(私の意見っ!?)ガン無視っ!